ある見習い魔女の恋
私がどんな気持ちで貴方を手放したのか、貴方は何も知らない。
いいのよ。
いいのよ。
全部、私のせい。
貴方は何も悪くない。
彼女の貴方への恋心を見つけた時、私は貴方から離れなければいけないと思った。
彼女は貴方にふさわしい。
直感でそう思った。
だから、貴方から離れるための魔法をかけた。
貴方には効果があったみたい。
それとも、魔法をかけなくても、彼女を見初めたのかな。
私は馬鹿だ。
こっちを向いて。
私は馬鹿だ。
いつものように側にいて。
私は馬鹿だ。
貴方の世界に私を留めて。
こんなにも苦しいなんて、思いもしなかった。
先生が言っていた。
使って良い魔法と使ってはいけない魔法があると。
人を幸せにする魔法だから使って良いのかと思った。
私は悪くない。
でも・・・。
でも・・・。
でも・・・。
苦しいよう・・・。
嗚呼、嗚呼。
彼女は貴方の側。
嗚呼、嗚呼。
私は貴方の外。
世界が、世界が、変わってしまった。
世界が、世界が、終わってしまった。
私は誰からも愛されない。
私に愛は注がれない。
彼女が奪ったわけではない。
私が彼女に譲っただけ。
大切な大切な貴方を、貴方のために譲っただけ。
私は私に自信が無い。
彼女はとても素敵だわ。
私の負けだわ。
仕方ない。
彼の前で、彼が彼女を好きになる魔法をかけた。
人が幸せになる魔法をかけた。
貴方はとても幸せそうだ。
彼女はとても幸せそうだ。
私はとても悲しそうだ。
許して。
許して。
私の恋心。
貴方には彼女がふさわしい。
私より彼女がふさわしい。
だから、叶えてあげた。
私が、叶えてあげた。
大切な大切な貴方のためだから。
これが私の愛し方。
これが私の愛の形。
私は見習い魔女なの。
多分、きっと、これでいい。
貴方は永遠に私の心の王子様。
これまで素敵な思い出、ありがとう。
忘れないで。
忘れないで。
私がいつも側にいたことを。
伝えなかったけれども、貴方に恋をしていたことを。
分かっていたでしょう?
きっと、きっと、分かっていたでしょう?
ずっと、ずっと側にいたのだから。
私は人を幸せにする魔法を使った。
まだ見習いだから精度の程は分からないけれども。
でも、幸せそうだ。
きっと、きっと、上手くいったのね。
私が頑張った。
だって、愛する貴方のためだから。
その魔法はきっと強力だわ。
私は見習い魔女なの。
人を幸せにする魔女になるの。
授業以外で初めて魔法をかけた。
貴方への恋心。
素直な恋心。
素敵な恋心。
大丈夫よ。
きっと、乗り越えられる。
だって、私は見習い魔女だから。
これは、一つの試練だわ。
守ろう。
彼の幸せを。
愛する彼の幸せを。
でも・・・。
泣かせて。
今は泣かせて。
見習い魔女にも恋心があるの。
だから、お願い、今は泣かせて。
いつの日か、愛する人のために、私は強くなる。
そうなりたい。
でも、私の幸せは、いつ訪れるのだろう・・・。
呼び寄せようか。
・・・、自然な方が良い。
その方が、ロマンチックだ。
・・・、彼は、魔法をかけて欲しくなかったかな。
でも、今更、もう、遅い。
私は自然な流れが良い。
大切な愛だから。
魔法をかけちゃいけなかったのかな。
その魔法、解こうか。
でも、それは、人を不幸にする魔法。
使えない。
使えない。
使っちゃいけない。
貴方を不幸にはしたくない。
これは私の間違った選択。
魔法をかけてはいけなかったんだ。
自然が良いんだ。
なんてことをしてしまったんだろう。
間違った選択だから、私が苦しんでしまったのか?
ううん、違う。
貴方が何事もなく私から離れて行ってしまったから、苦しいだけ。
でも、それは、きっと、貴方の彼女への思いやり。
心配かけない為の思いやり。
それとも・・・。
貴方の目には彼女しか映らないのかしら・・・。
私はフェードアウトしてしまってるのかしら・・・。
それとも・・・。
貴方は私を嫌いになってしまったのかしら・・・。
耐えられない。
そんな悲しいこと、耐えられない。
貴方のために愛を失ったのに、邪険にされるなんて、そんなの耐えられない。
嗚呼、嗚呼、嗚呼、嗚呼。
私は馬鹿だ。
私は馬鹿だ。
使っちゃいけなかったんだ。
貴方のことだけを、思っていた。
だから、魔法を使った。
後先考えられなかった。
これが、魔法を使った副作用か・・・。
見習い魔女は、これを乗り越えなければならないんだ。
きっと、こういうことなんだろう。
人を幸せにする為には、自分が幸せでなければ、他人を幸せにすることは出来ない。
心が、心が、そう言っている。
当てはまることがあるだろう。
当てはまらなかったり、当てはまることがあるだろう。
当てはまることがないだろう。
今回のケースは、当てはまってしまったんだ。
これは考えたり経験していくしか、分かりそうもない。
魔法が使えても、魔法が使えなくても同じ事だ。
その手加減の仕方を考え経験していくことは、魔女になるための試練だ。
魔法で人を幸せにしたかった。
でも、使い方には気をつけよう。
先に、私を幸せにしよう。
そして、他人を幸せにしよう。
でも、これは、ケースバイケースだ。
これは、私の苦い思い出。
きっと、きっと、乗り越えられる。
優しすぎた私を尊く思う。
愛してる。
愛してる。
貴方を愛してる。
ごめんね。
ごめんね。
余計なことをして。
いつか。
いつか。
友として迎えに来てね。
そしたら。
そしたら。
そしたら、きっと、私は高く飛び立てる。
私の空を羽ばたける。
私を魔女に推し進める。
誰かに愛を注ぎましょう。
貴方がいるから私は強くなれる。
ありがとう。
ありがとう。
恋って素敵だね。
終
最後までお読みいただき、有難うございました。
暑い日々が続いておりますが、どうか、お身体ご自愛下さい。
どうかお元気で。
さようなら。




