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ある見習い魔女の恋

作者: 穏世青藍
掲載日:2026/06/03

 私がどんな気持ちで貴方を手放したのか、貴方は何も知らない。


 いいのよ。


 いいのよ。


 全部、私のせい。

 

 貴方は何も悪くない。


 彼女の貴方への恋心を見つけた時、私は貴方から離れなければいけないと思った。


 彼女は貴方にふさわしい。


 直感でそう思った。

 

 だから、貴方から離れるための魔法をかけた。


 貴方には効果があったみたい。


 それとも、魔法をかけなくても、彼女を見初めたのかな。


 

 

 私は馬鹿だ。


 こっちを向いて。


 私は馬鹿だ。


 いつものように側にいて。


 私は馬鹿だ。

 

 貴方の世界に私を留めて。




 

 こんなにも苦しいなんて、思いもしなかった。


 先生が言っていた。


 使って良い魔法と使ってはいけない魔法があると。


 人を幸せにする魔法だから使って良いのかと思った。


 私は悪くない。


 でも・・・。


 でも・・・。


 でも・・・。


 苦しいよう・・・。




 嗚呼、嗚呼。


 彼女は貴方の側。


 嗚呼、嗚呼。


 私は貴方の外。


 世界が、世界が、変わってしまった。


 世界が、世界が、終わってしまった。


 私は誰からも愛されない。


 私に愛は注がれない。


 彼女が奪ったわけではない。


 私が彼女に譲っただけ。


 大切な大切な貴方を、貴方のために譲っただけ。

 



 私は私に自信が無い。


 彼女はとても素敵だわ。


 私の負けだわ。


 仕方ない。


 彼の前で、彼が彼女を好きになる魔法をかけた。


 人が幸せになる魔法をかけた。


 貴方はとても幸せそうだ。


 彼女はとても幸せそうだ。


 私はとても悲しそうだ。


 


 許して。


 許して。


 私の恋心。


 貴方には彼女がふさわしい。


 私より彼女がふさわしい。


 だから、叶えてあげた。


 私が、叶えてあげた。


 大切な大切な貴方のためだから。


 


 これが私の愛し方。


 これが私の愛の形。


 私は見習い魔女なの。


 多分、きっと、これでいい。


 


 貴方は永遠に私の心の王子様。


 これまで素敵な思い出、ありがとう。


 忘れないで。


 忘れないで。


 私がいつも側にいたことを。


 伝えなかったけれども、貴方に恋をしていたことを。


 分かっていたでしょう?


 きっと、きっと、分かっていたでしょう?


 ずっと、ずっと側にいたのだから。


 


 私は人を幸せにする魔法を使った。


 まだ見習いだから精度の程は分からないけれども。


 でも、幸せそうだ。


 きっと、きっと、上手くいったのね。


 私が頑張った。


 だって、愛する貴方のためだから。


 その魔法はきっと強力だわ。




 私は見習い魔女なの。

 

 人を幸せにする魔女になるの。


 授業以外で初めて魔法をかけた。


 貴方への恋心。


 素直な恋心。


 素敵な恋心。


 大丈夫よ。


 きっと、乗り越えられる。


 だって、私は見習い魔女だから。


 これは、一つの試練だわ。




 守ろう。


 彼の幸せを。


 愛する彼の幸せを。


 でも・・・。

 

 泣かせて。


 今は泣かせて。


 見習い魔女にも恋心があるの。


 だから、お願い、今は泣かせて。





 いつの日か、愛する人のために、私は強くなる。


 そうなりたい。

 

 でも、私の幸せは、いつ訪れるのだろう・・・。


 呼び寄せようか。


 ・・・、自然な方が良い。

 

 その方が、ロマンチックだ。


 ・・・、彼は、魔法をかけて欲しくなかったかな。


 でも、今更、もう、遅い。


 私は自然な流れが良い。


 大切な愛だから。


 魔法をかけちゃいけなかったのかな。


 その魔法、解こうか。


 でも、それは、人を不幸にする魔法。


 使えない。


 使えない。


 使っちゃいけない。

 

 貴方を不幸にはしたくない。


 これは私の間違った選択。


 魔法をかけてはいけなかったんだ。


 自然が良いんだ。


 なんてことをしてしまったんだろう。


 間違った選択だから、私が苦しんでしまったのか?


 ううん、違う。


 貴方が何事もなく私から離れて行ってしまったから、苦しいだけ。


 でも、それは、きっと、貴方の彼女への思いやり。


 心配かけない為の思いやり。


 それとも・・・。


 貴方の目には彼女しか映らないのかしら・・・。


 私はフェードアウトしてしまってるのかしら・・・。


 それとも・・・。


 貴方は私を嫌いになってしまったのかしら・・・。


 耐えられない。

 

 そんな悲しいこと、耐えられない。


 貴方のために愛を失ったのに、邪険にされるなんて、そんなの耐えられない。


 嗚呼、嗚呼、嗚呼、嗚呼。


 私は馬鹿だ。


 私は馬鹿だ。


 使っちゃいけなかったんだ。


 貴方のことだけを、思っていた。


 だから、魔法を使った。


 後先考えられなかった。


 これが、魔法を使った副作用か・・・。


 見習い魔女は、これを乗り越えなければならないんだ。


 


 きっと、こういうことなんだろう。


 人を幸せにする為には、自分が幸せでなければ、他人を幸せにすることは出来ない。


 心が、心が、そう言っている。

 

 当てはまることがあるだろう。


 当てはまらなかったり、当てはまることがあるだろう。


 当てはまることがないだろう。


 今回のケースは、当てはまってしまったんだ。

 

 これは考えたり経験していくしか、分かりそうもない。


 魔法が使えても、魔法が使えなくても同じ事だ。


 その手加減の仕方を考え経験していくことは、魔女になるための試練だ。


 


 魔法で人を幸せにしたかった。


 でも、使い方には気をつけよう。


 先に、私を幸せにしよう。

 

 そして、他人を幸せにしよう。


 でも、これは、ケースバイケースだ。


 


 これは、私の苦い思い出。


 きっと、きっと、乗り越えられる。


 優しすぎた私を尊く思う。


 愛してる。


 愛してる。


 貴方を愛してる。


 ごめんね。


 ごめんね。


 余計なことをして。


 いつか。


 いつか。


 友として迎えに来てね。


 そしたら。


 そしたら。


 そしたら、きっと、私は高く飛び立てる。


 私の空を羽ばたける。


 私を魔女に推し進める。


 誰かに愛を注ぎましょう。


 貴方がいるから私は強くなれる。


 ありがとう。

 

 ありがとう。


 恋って素敵だね。


                    終




 最後までお読みいただき、有難うございました。

 暑い日々が続いておりますが、どうか、お身体ご自愛下さい。

 どうかお元気で。

 さようなら。

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