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オルゴールから流れる音色で思い出す。キラキラ輝く君の記憶は色褪せない

作者: 来留美
掲載日:2025/12/27

 オルゴールが音色を奏でる。

 僕の頭の中に沢山の彼女の記憶が流れこむ。


 僕には大切な人がいる。


 彼女の目はクリクリと大きく、少し茶色い瞳。

 笑った時の左だけに現れるエクボが可愛さを倍増させた。


 彼女には欠点というものはなく全てが魅力的だった。

 そんな僕には、彼女が光って見えた。

 キラキラ輝く宝石のように美しかった。


 高校生になると彼女は、もっと光を放つ。

 何度も彼女に気持ちを伝えたいと思った。

 でも、幼馴染の関係を壊したくはなかったから言えなかった。


「あなたといると落ち着くの。あなたって昔から私の傍にいて私の味方でいてくれるからね」


 その彼女の言葉は、僕を混乱させた。

 僕は、こんなに彼女が好きなのに、彼女にとって僕は、何なのだろう?


 それから僕達は大人になった。

 彼女はメイクを覚え、もっと美しく輝きを増した。


 二人でお酒を飲んでいた時、二人とも酔っ払っていたのもあり、自分の気持ちを言葉にしてしまった。


「疲れた。あなただけが私を見てたら何も隠さなくていいのに」

「それなら僕だけを見てよ。君が僕だけを見てれば僕達二人だけの世界になるよ」

「二人だけの世界? 私があなただけを見れば、あなたは私だけを見てくれるの?」

「僕は、昔から君だけしか見てないよ」

「私も」


 僕は彼女に、ちゃんと伝えたくて別の日に告白をした。


「僕は君が大好きだ。これからもずっと僕の傍で笑っていてほしい」

「なんだかプロポーズみたいね」

「プロポーズ? そうだよ! 結婚してください」

「はい! 喜んで。交際ゼロ日婚だね」


 プロポーズは、彼女が嬉しそうにクスクスと笑う僕達らしいモノだった。



 それなのに彼女は僕の傍には、いてくれなかった。

 彼女は結婚式を挙げる前に、交通事故で亡くなった。


 僕の心は空っぽになった。

 彼女のいない世界は色を失った。

 どれだけ泣いたか分からない。


 全てを忘れたかった。

 だから僕は忘れることを選んだ。

 彼女を思い出すのは、彼女がくれたオルゴールが音色を奏でる(とき)だけ。


 幸せだった僕達の思い出を思い出すだけ。

 その時だけは彼女が僕の目の前に現れる。


 そしてオルゴールが音色を奏でなくなると、僕は彼女の全てを忘れる。


「あれ? 僕は何故オルゴールと日記帳を持っているんだ? 早く片付けて引っ越しをしなければ」


 僕は、片付けをする度に気がつくと、このオルゴールと日記帳を手に持っている。

 だからなのか、日記帳とオルゴールは捨てられない。


 

「いつか、このオルゴールの音色を聴いてみたいな」

お読みいただき、誠にありがとうございます。

楽しくお読みいただけましたら執筆の励みになります。

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