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マライサアの瞳が紫色に光る~かつて大陸の覇者であった民族の末裔は、蔑まれながらも抗い続ける~  作者: 成吉灯篭


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プロローグ

 『序章』


 どちらかと言えば少数民族であるマライサアの民が大陸の覇権を握れたのは、運の良さだけでなく、彼らの生まれ持った魔力の高さによる物も大きかったのであろう。

 毒のような暗い紫色の瞳を持ち、他の民族よりも生まれつきマナの容量が多い傾向にあるマライサアの民は、他の民族、国家をその力で圧倒し、あっという間に大陸のほとんどを支配下に置き、統一まであと一歩となった。


 勿論各民族においても、英雄と呼ばれるような強者はおり、また一部の者は、マライサアの民を上回る力を持っていたが、一人一人が高い能力を持つマライサアの民に対し、英雄の数は圧倒的に少なく、マライサアの民を止めることはできず、一人、また一人とその数を減らしていった。


 そして多くの国を支配し、大陸の統一まであと一歩となったマライサアの民であるが、その天下は、銃と大砲の台頭によりあっけなく終わった。


 以前から戦場にて使われつつも、コストの問題から、あまり大々的に使われてこなかったこれらの武器だが、大量生産に成功した各国が運用を開始するようになると、マライサアの民は、その力によって徐々に追いやられることとなった。

 何せ、銃は最低限の訓練さえ積めば、全くの素人の兵士であってもそれなりの力を簡単に与えることができる武器である。


 力ある少数民族であるマライサアの民に対し、大量の銃と大砲によって編成された多数の国家による連合大部隊。

 そしてその数の暴力は、力を持ちながらも数が少ないマライサアの民を着実に追い詰めていった。

 こうして一時は、大陸の統一まで後一歩という所まで躍進したマライサアの民は、その拡大と同等、いやより速い速度で、その勢力圏を失っていった。


 しかし、追い詰められながらも、マライサアの民は全滅することはなかった。


 一つに、追い詰められた多くのマライサアの民は、その身分を隠し市井に紛れることで追撃の目を逃れた。

 二つに、抵抗を試みる一部のマライサアの民達は、大国に庇護を求め、その援助によって一勢力として生き延びた。

 そして三つに、マライサアの民の脅威が減少していくにつれ、彼らを追い詰めていた連合大部隊の内部の争いが激しくなり徐々に内部分裂を起こし始めた。


 元々、マライサアの民の脅威に対抗するためだけに多国間で形成された部隊である。

 その脅威が薄れるにつれ、各国の一体感は失われ、同時に、各国が自分達の利益を優先し始め、そして、ある時、連合大部隊は、些細な事で瓦解することとなった。


 それから時は経ち、大陸には多くの国家が樹立し、人々全く新しい文明の中を生きていた。

 かつて神を信じ、魔法と剣によって支配されていた世界は、今、経済によって支配され、戦場は、銃と砲が主流となっていた。


 そして、かつてマライサアの民と戦った連合大部隊の中でも、特に中心になって動いていた主要な五か国が、世界を牛耳る世の中で、この物語は始まった。

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