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ランゼは食べ物と勉強以外はあまり興味が無さそうです。
「とりあえず式の予約は1年前から受付だからもう手続きするね!ちょうど11月は神無月だから出雲に神様が集まってくる沢山の神様にもお祝いしてもらおうね!」
そう、11月は神無月、出雲だと神在月だ。
結局ツヨシさんの希望で出雲大社になりそうだ。本当に羽織袴を着たかったんだろう。
この出雲大社もタイミング良すぎて全てここまでが計算尽くの疑いが拭えない。
やっぱり色々胡散臭くて強かだ。
まあ、私も結局最後はこちらも惚れた弱みと言うか、もう何でも良い。好きにしてくれ。
披露宴は系列ホテルにするようだ。
正直此方の方が気が重い…
参列者はほぼツヨシさんの会社関係者ばっかりだろう。
ヘマしないようにしないとツヨシさんに迷惑かかりそうだ。
海外ウエディングの希望はお互い無い。
正直前にも言ったが私は結婚に夢とか無いんで、ツヨシさんがやりたい様に好きに決めてくれた方が楽だ。
ツヨシさんなら平安時代の格好とかも似合いそうだ。安倍晴明みたいな。なんかああいう怪しげと言うか胡散臭いの似合いそう。
ちょっと見てみたいから披露宴のお色直しに打診してみようかな。
そうなったら私はやっぱり付け鼻の豚の妖怪とかの格好させられるんだろうか…
両家両親の挨拶はすませた。
私の父はツヨシさんを紹介したら顎が外れるかって位口が開いて驚いていた。
それが普通の反応だよなあ。
妹のマドカは
「姉ちゃん宜しくっす!」
といつもより気合の入ったギャルメイクでギャルの仁義を切っていた。
何だかんだで良い子だ。
ツヨシさんのご両親、特にお母様はかなりサッパリしていた。
母親って息子の嫁に厳しいのかと思っていたけど…
私の母は今は出て行ってしまっていて、義理の父親と妹とが家族なのだが、そう言った事にも何も言って来なかった。
主に私の学校でやってる事やこの先の研究についての話しかしてないかも…
ツヨシさん曰く
「母は実力主義な人なんで家柄とか興味無い人だね。多分ランゼの事気に入ると思うよ!」
だそうだ。
挨拶が終わった後は私がお母様に引き抜かれないか心配していた。
多分気に入って貰えたんだろう。
マドカと同じ歳のツヨシさんの妹、小百合さんと最近やってきたらしい婚外子のもう1人の妹の綾さんとも軽く挨拶をした。
綾さんは口数も少なくとても大人しい可愛らしい子だった。
顔に大きめの痣があったので、本人が気にしているなら痣取りのレーザー治療なんかに強い良い美容整形外科を紹介してあげよう。
小百合さんは「兄さんを宜しくお願いします」
だった。ある意味マドカと似ている。
ただ、此方はギャルというよりクラスの女王蜂って感じの風格があった。
とにかく華やかで美人な子だ。
何とかこれで一仕事終えた感じだ。
肩の荷が少し降りた。
てか、普通に勉強に集中したい。
今はそれぞれ今まで通りにツヨシさんは実家で私はアパートでと別に暮らしているが、結婚したらマンションに引っ越して同棲する予定だ。
最終的にには跡を継いだらツヨシさんの実家に同居になるのかも知れない。
今は同棲までの間は第3、4水曜日にツヨシさんの部屋に泊まる約束となっている。
水曜日は私達が出会った日なんでツヨシさんには思い入れがあるんだろう。
意外にロマンチストだ。
この日は必ず空ける事と言われている。
まあ、このスケジュールは所謂私の月のモノの関係だ。
この日は必ず致すと言う事だ。
「お互いの愛を確かめ合うのは大事な事だよ!」
らしい。
私があのキャンプが初めてだったので徐々に慣れさせたいのだろう。
まるで犬の躾みたいだなあと思っている。
口に出したら機嫌悪くなりそうだから言わないが。
やはりツヨシさんは悪知恵と言うか頭のいい人だから捕獲も躾も上手い。の一言に尽きる。