番外編 進路希望書提出騒動
今回、AI漫画イラストを差し込んでみました。
雰囲気ごと、楽しんでいただけると嬉しいです。
※画像の漫画と本文は若干違います
【進路希望書提出騒動】
──Eクラス教室・放課後。
夕陽が差し込む中、レナ・ファリスは机の上で小さく唸っていた。
「うーん……進路、どうしようかなあ……」
机に広げた進路希望書。白紙。
Eクラスにやって来て、隣の席に腰かけていたレオンがちらりと視線をやった。
「お前、それ、まだ書いてなかったのか」
「うん。どうせEクラスだし、まだいいかなって……」
「締切、明日だぞ」
「えっ!? うそ!」
レナが慌てて立ち上がる。
その動作の隙を、レオンは見逃さなかった。
彼の指先が、スッと紙を掠め取る。
「ちょっと、それ返して!」
レオンはペンを構えたまま、淡々と口を開いた。
「代わりに書いておいてやる」
「えっ、いいよ! 自分で書くから!」
「気にするな。お前の希望は、俺が一番よく分かってる」
「いやいやいや! そんなことないよね!?ね!?」
完全に無視された。
レオンの筆が滑る。さらさら、さらさらと迷いのない筆致。
その表情、真剣。いや、真剣すぎる。
「……なに書いてるの?」
「レオン・ヴァレントと結婚」
「違うぅううううううう!!」
レナの悲鳴が教室に響く。
机をバンッと叩く音がした。
そこへ、廊下から通りかかったエリックとサラ。
「……あー、またやってるな」
「今日のは特に酷いわね」
「いや、あれ提出されたら教務局の人たち困惑するよ」
ふたりは静かにドアを閉めた。
レナは顔を真っ赤にしながらレオンの腕を引っ張る。
「もうっ、返して! 書き直すの!」
「無理だ。俺が書いたのは事実だ」
「まだ事実じゃないの!!」
「じゃあ、今から事実にするか?」
「ちょ、待っ──!」
進路希望書が風に舞った。
「絶対に提出しないからね!」
数日後。教務局の職員がEクラスの山をめくる手を止めた。
そこにあったのは、見慣れないほど整った筆跡の進路希望書だった。
「Eクラスの進路希望書に……プロポーズ、書いてあるんだけど……」
さらに数日後。担任がレナを呼び止めた。
「レナ・ファリス。進路希望書の件なんだが……」
「あっ、すみません、まだで──」
「いや、出てる。これは一体どういうことだ?」
担任が見せた紙の一番上には、例の文字。
もちろんレナのものではない。
『レナ・ファリス 進路希望:レオン・ヴァレントと結婚』
「……え?」
その背後で、廊下を通りかかったレオンが、何でもない声で言った。
「期限前に提出しただけだ」
番外編お読みいただきありがとうございました。
殺伐とした本編の箸休めに、こんな一幕を挟んでみました。
たまには、こういう平和(?)な回があってもいいかなと。
本編では見られない顔をしている彼らですが、こういう日常も、きっとどこかにあったんだと思います。
……多分。
レオンのやっていること自体は本編と地続きなのに、こっちだとなぜか笑えてしまうのが不思議です。
アクションなどいただけると励みになります。
本編も引き続き、よろしくお願いいたします。




