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【第二部完結】Fated Oath ─誓約の果て─  作者: りんごあめ
第三部 壊す者 ― The Game of Judgment
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番外編 進路希望書提出騒動

今回、AI漫画イラストを差し込んでみました。

雰囲気ごと、楽しんでいただけると嬉しいです。

挿絵(By みてみん)

※画像の漫画と本文は若干違います



【進路希望書提出騒動】


 ──Eクラス教室・放課後。


 夕陽が差し込む中、レナ・ファリスは机の上で小さく唸っていた。


「うーん……進路、どうしようかなあ……」


 机に広げた進路希望書。白紙。

 Eクラスにやって来て、隣の席に腰かけていたレオンがちらりと視線をやった。


「お前、それ、まだ書いてなかったのか」

「うん。どうせEクラスだし、まだいいかなって……」

「締切、明日だぞ」

「えっ!? うそ!」


 レナが慌てて立ち上がる。

 その動作の隙を、レオンは見逃さなかった。

 彼の指先が、スッと紙を掠め取る。


「ちょっと、それ返して!」


 レオンはペンを構えたまま、淡々と口を開いた。


「代わりに書いておいてやる」

「えっ、いいよ! 自分で書くから!」

「気にするな。お前の希望は、俺が一番よく分かってる」

「いやいやいや! そんなことないよね!?ね!?」


 完全に無視された。

 レオンの筆が滑る。さらさら、さらさらと迷いのない筆致。

 その表情、真剣。いや、真剣すぎる。


「……なに書いてるの?」


「レオン・ヴァレントと結婚」


「違うぅううううううう!!」


 レナの悲鳴が教室に響く。

 机をバンッと叩く音がした。


 そこへ、廊下から通りかかったエリックとサラ。


「……あー、またやってるな」

「今日のは特に酷いわね」

「いや、あれ提出されたら教務局の人たち困惑するよ」


 ふたりは静かにドアを閉めた。


 レナは顔を真っ赤にしながらレオンの腕を引っ張る。


「もうっ、返して! 書き直すの!」

「無理だ。俺が書いたのは事実だ」

「まだ事実じゃないの!!」

「じゃあ、今から事実にするか?」

「ちょ、待っ──!」


 進路希望書が風に舞った。


「絶対に提出しないからね!」


 数日後。教務局の職員がEクラスの山をめくる手を止めた。

 そこにあったのは、見慣れないほど整った筆跡の進路希望書だった。


「Eクラスの進路希望書に……プロポーズ、書いてあるんだけど……」


 さらに数日後。担任がレナを呼び止めた。


「レナ・ファリス。進路希望書の件なんだが……」

「あっ、すみません、まだで──」

「いや、出てる。これは一体どういうことだ?」


 担任が見せた紙の一番上には、例の文字。

 もちろんレナのものではない。


『レナ・ファリス 進路希望:レオン・ヴァレントと結婚』


「……え?」


 その背後で、廊下を通りかかったレオンが、何でもない声で言った。


「期限前に提出しただけだ」

 

 

番外編お読みいただきありがとうございました。


殺伐とした本編の箸休めに、こんな一幕を挟んでみました。

たまには、こういう平和(?)な回があってもいいかなと。


本編では見られない顔をしている彼らですが、こういう日常も、きっとどこかにあったんだと思います。

……多分。


レオンのやっていること自体は本編と地続きなのに、こっちだとなぜか笑えてしまうのが不思議です。


アクションなどいただけると励みになります。


本編も引き続き、よろしくお願いいたします。


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