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アマテン短編集  作者: アマテン
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ファンタジー 呪い返し

登場人物

主人公:ハヤト

主人公の妹:ヒナタ

主人公の父:ユージン

主人公の母親:レイシア

ヒナタの友人の聖女

第一王子:レックス

国王

王妃


ある森の中にある家の中で家主のハヤトがお茶を飲んいると誰かが来る気配がする。


「きたみたい。きちんと話すのは5年ぶりか」


 

 全てはあの時から始まった。ここは魔法が存在する世界のとある国のとある公爵家の一室。そこにはベッドで寝ている一人の女性とその周りを家族の人たちが囲んでいる。


「うう、母さん」


 ベッドわきで泣いてる女の子の頭を撫ぜながらベッドで寝ている女性は家族に最後の言葉を起こす。


「ヒナタ、つらい時もあると思うけど家族を、自分を信じてまっすぐ行きなさい」

「ハヤト、ヒナタとお父さんをお願いね」

「あなた、これまで愛してくれてありがとう。あなたの妻でいれてうれしかったわ。先に旅立つことを許してね」


 その言葉を最後に女性は息を引き取る。この日を境にこの公爵家から母親であるレイシアが亡くなる。レイシアの家族はレイシアの遺言を心に刻む。


「あああああ、すごい魔力が溢れる。これがレイシアの魔力」


 とある屋敷の一室で男が体を震わせながら狂い笑う。



 それから5年後、今日はこの国の建国記念日。ヒナタも父親であるユージオと共に出席している。ヒナタたちの元には様々な人物が話しかけて、少しでも関係を持とうとしている。


 それもそのはず。ユージオはこの国で貴族の中で侯爵に次ぐ地位。さらに国最大の鉱山・農園を所有する大富豪。その娘であるヒナタも美しさだけでなく頭脳明晰・魔力も高い女性に成長し、様々な縁談が届くが縁を結べたものはいない。


「やあ、ユージオさん・ヒナタ」


 豪華な服を着た一人の青年が話しかけてくる。彼はこの国の第一王子レックス。イケメンで頭脳明晰・魔力も多いと天から2物も3物も与えられた。最もすごいのは神の加護をもらっている所。彼もヒナタに縁談を申し出ているが断られている。ただし諦めることなくこうしてアタックしている。


「殿下、おはようございます」

「殿下、本日はおめでとうございます」

「殿下は止めてくれ。レックスでいいと言っているだろう。二人とも」

「いえいえ、そのように呼べません。周りの目もありますし」

「相変わらずつれないな、ヒナタ。それより今日のダンス一曲お願いできないか?」

「申し訳ありません。本日は父と踊るだけで終わります予定なので。他のご令嬢と踊ってください」

「そうか、残念だ。それなら握手ぐらいしてくれないか?この良き日の記念として」

「それぐらいなら」



 さらに時は流れ建国記念日からもうすぐで一年。


「ユリア殿、頼む!もう聖女であるそなたしか頼れない。ヒナタを救ってくれ」


ユージオは頭を地面に着け女性に頼む。彼女は世界に20人しかいない聖女の一人で、どこの国にも所属していない聖女の中でも最高峰の聖魔法の使い手。


「頭を上げてください。今度こそヒナタを救いますから」


 ユリアは緊張しながら隣のベッドで寝ているヒナタの頭を撫でる。ヒナタは建国記念日から1カ月後体中に黒い痣が現れ体力・魔力が失われていった。まるで6年前に死んだレイシアのように。その事を知ったユリアはすぐにヒナタの様子を見に行った。ユリアの診断により高度な呪いがかかっておりこのままだと死んでいくと。すぐにユリアは聖魔法で呪いを排除しようとしたが全く効かなかった。そこで厳しい修業・実戦で聖魔法を鍛え、今度こそヒナタを救うために。


「ユリア」

「任せて」


 ユリアは寝ているヒナタに手を向けて集中する。すると彼女から以前より比較にならない光の魔力が溢れる。


「フルキュア」


 そのままヒナタに注ぐ。


「あああああ」


 呪いとユリアの聖魔法が対抗しあいヒナタの全身に痛みが走り絶叫を上げる。ヒナタの体力的にこれが最後のチャンス。ユリアは全身全霊で魔力を注ぐ・・・。しかし


「きゃあああ」


 呪いの方が強く、ユリアそれと近くにいたユージオは弾かれ壁に叩きつけられる。ヒナタもこの解呪で力を使い果たしたようで全身から冷や汗を流し、体を痙攣させている。


「いや、やめてくれ、お願いだ」

「ヒナタ!」


 ヒナタの身体から痣が空中に飛び出て蛇の形になる。これは呪いの最終段階。体から痣が飛び出し何かの形をとり、呪殺の一撃を放つ。二人はさっきの衝撃でうごけない。


「強制睡眠」


2人は突然の眠気に襲われ意識を失う。


 蛇となった呪いはヒナタに呪殺の一撃を放つためにとびかかる・・・


「やっと尻尾を出したな」


 しかし誰かの手でとらえられる。呪いの蛇は球体となり手に浮かぶ。ヒナタは苦しみから解放されうっすら目を開けると懐かしい顔が見え、大きく目を開ける。


「お」

「ゆっくりお休み、ヒナタ。強制睡眠」


 ヒナタはそのまま意識を失う。


「これでヒナタは大丈夫だよ、お母さん。後は犯人への復讐だよね。くくく、最大級のプレゼントをあげるよ」


 呪いを手にいた存在はそのまま自身の魔力を注ぎ、呪いを変質させていく。


「はっ!ヒナタは?」


 意識を取り戻したユージオはすぐにベッドで寝ているヒナタに駆け寄る。ヒナタは健やかに眠っている。顔まで侵されていた黒い痣は無くなっていた。先ほど意識を取り戻したユカリもすぐにヒナタの体調を確認したが完全に呪いが排除され今は体力の回復のため深い眠りについている。それを聞いたユージオは泣き崩れる。



さらに時は流れ1年後、王城にある第一王子レックスの私室。レックスはヒナタの体調が回復して1カ月後いきなり右足が動かなくなり、それから2カ月経つたびに右腕、左腕、左足と動かなくなっていく。様々な医者・聖女・国宝クラスのアイテムを使用しても直すことができなくなり、最近は突然五感(視力・聴力・嗅覚・味覚・触覚)の一部が失われたり戻ったりしている。


 レックスの私室には王様・王妃様の他に、この国の聖女・隣の国の聖女・無所属の聖女であるユカリの他にユージオ・ヒナタの姿もある。王様はレックスのために交渉を進め隣国の国宝を借りることに成功した。この隣国の国宝は指定する人物の魔力を注ぐことで神族を召還できる。ただしこの国宝を使うには隣国含む数か国の許可がいり、戦争以外の目的で召喚することが国家間の契約で結ばれている。今回必要となった魔力はヒナタ含む3人の聖女の魔力が必要。


 4人が国宝に魔力を注ぎ数秒後辺りを圧伏する空気が広がっていき4人以外の部屋にいた全員が膝をつく。空に魔力を注ぐとその圧迫度は増しいきをするのもくるしくなり、とうとう神が出現する。出現した神は天罰神ヨハン。


(レックスは天罰神様から加護をもらってたのか)


 これまでの国宝の召喚の経験から、召喚理由に関係した神が降臨することが分かっている。今回の場合は神の加護を得ているレックスが理由のため、加護を与えた神が降臨するだろうとみんな考えていた。


「天罰神ヨハン様、降臨していただきありがとうございます」

「要件は何かしら?」


 創造神ヨハンは興味なさそうな目で話しかけてきた隣国の聖女を見る。隣国の聖女は圧倒されながらもどうにか今回の要件を述べる。


「あ、あのそちらで寝ている男性の症状を回復してほしいのです。私たちの方でもいろいろ調べたのですが病気でも呪いでもないのです」


ヨハンはレックスを一瞥すると


「無理ね」


 バッサリと否定する。神からの一言で横たわっているレックスは絶望し、動揺した女王は慌ててヨハンに質問する。


「そんな、ヨハン様でも無理なんて。一体レックスは何にかかってるんでしょうか?」

「秘湯大きな勘違いをしているけど先に彼の症状を説明してあげる。彼の主な症状は神族クラスの呪詛返しと天罰神(私)の神罰よ」

「え?」

「そこからは俺が話すよ、ヨハン」


 ヨハンの衝撃の一言で誰も声が出せない状況で突然別の声が割り込んでくる。声が聞こえた方向に目を向けると、いつの間にか窓が開いており男性が経っていた。その男性はそのまま真っすぐヨハンの元に向かう。突然入って来た不審者に向かって部屋にいた護衛と隠れていた護衛が魔法・武器を向けようとしたがどこかからか伸びてきた鎖にとらわれて動けなくなる。


「ハヤト兄ちゃん?」

「ハヤト?」


 男性の顔に昔の雰囲気を感じたヒナタ・ユージオは思わず尋ねる。そう、彼はハヤト。レイシアが死んでから消息を絶っていた彼らの家族だ。ハヤトはヨハンの横に並び立つとレイシアの死亡時から話し出す。


「母さんが寝込み始めた時から母さんの体内に黒い靄があるのが見えた。父さんにも伝えたけど子供の戯言だと相手にされなかった。でも黒い靄が濃くなるごとに母さんの身体は衰弱していき最後には死んだ。そしてその靄は次にヒナタの元に入り込んでいった。母さんの体内に黒い靄を見つけてから探せる範囲の情報を集めたけどわからなかった。父さんに行っても信じてもらえなかったから、自分で外に出て情報を集めるしかない。母さんの遺言も守るためにヒナタが死ぬまえに情報を集めるため国から出た。

 それから数年後あの黒い靄の正体を突き止めた。あれは邪神の力で施された呪い。この呪いは邪神が施したか、邪神の力を宿した何者かが施したか。どちらでも犯人(邪神)はいるから復習はできる。そこで時空神に僕の記憶を読んでもらって呪いにかかわりのある邪神を探してもらった」

「「ちょっと待ってくれ(ください)」」


 ユカリと国王から質問が飛ぶ。


「ハヤト君は神様と話す事ができるんですか?」

「ああ、情報を集めてる時神界に行けるようになって知り合いになった神族と話せるようになった。まあ元から2人の神から加護をもらってたんだけど」

「え?でも鑑定には反応がありませんでしたよね?」

「本当に神から加護をもらったら鑑定には反応はない。だって神からの加護だ、その鑑定も神クラスで無いと反応があるわけがない」

「え?だったら今までの???の加護というのは?」

「それは準神クラスの存在か邪神クラスの加護だな」

「だったらレックスの加護は?」

「邪神ゴルドルの加護。でも一つ言っておくけど邪神の加護をもらったからって全ての存在が堕ちるわけではないから。話は戻すけどヒナタの呪いを解除するために邪神ゴルドルの元に向かった。ゴルドルの拠点には呪いによってとらわれた魂が苦しめられており、もちろん母さんの魂もあった。ゴルドルごと拠点をつぶしとらわれた魂を開放した後、世界中に広がるゴルドルの存在を消すため呪いを解除していき、最後にたどり着いたのが最も呪いがひどかったヒナタの元に」

「ヒナタの呪いを解除したことで今まで溜めていた呪い返しが術者に襲い掛かる。本来邪神の加護をもらった存在は邪神の力を生きている間はリスクがなく使えるんだけど、今回は邪神の存在が消え去ってるので加護はなくなりすべての呪いが術者に返っていく。もうみんなもわかってるだろうけど母さんやヒミコ達に呪いを与えたのはレックス」

「本来の呪い返しなら効果が自分に返っていき死ぬけど俺の家族を傷つけ殺した。だったら単に苦しんで死ぬなんて許さない。本来の呪い返しに俺の加護の一人冥界女帝プルートの呪力『冥府の呪縛』を注ぎ込んで呪い返しの効果を強化。さらにヨハンの力で呪い返しの効果で死なないように魂・精神・体が壊れると直前の状態まで回復するようにした」


 そこまで話すとハヤトは今までの話を聞いて震えているレックスの枕元まで行き、レックスの目をのぞき込みながら呪い返しの効果を話す。


「今からお前は120歳になるまで四肢の感覚は無くなり、今の五感消失の症状はずっと続く。さらにお前に殺された魂やプルートの呪力に引き寄せられ様々な悪霊が集まって様々な症状も出てくる。だけど安心しろ、ヨハンの効果で死なないから。

でもこれだけじゃ全然許せない。だからお前だけじゃなく家族にも罰を受けてもらう。だってお前みたいなクズを育て続けたんだから。他の貴族でも家族の誰かが罪を犯すと一族打ち首や爵位取り上げとかあるだろう?罰の範囲は他国・別の貴族に嫁いで名前が変わった現在の王族の全て、期間はレックスが死ぬまで、罰の内容は一族と交わった者は子供が生まれない」

「「いやああああああ」」


 部屋中に絶叫が響く中まだハヤトの説明は続く。


「たとえ王族から抜けたとしてもこの効果は続く。さらに別の一族から王族に加入した時点でこの罪が付与される。そして最後にレックスに何らかの事態が起こり死んだ場合、この呪いは国全体に拡がり、本来レックスが生きるはずだった年まで続く」


 すべてを話し終えたハヤトはヒナタ・ユージオに手紙を渡すとヨハンと共にその場から消え去る。それから数日後国全体に今の情報が伝えられ、現在の王族はどこか遠くの土地に集められ、新しい王族が生まれた。


 国中がお祭り騒ぎの中、、ヒナタ・ユージン・ユカリは数人の実力者と共に危険地帯の森を進んでいる。ハヤトと会うために


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