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呪いの魔女はわりと毎日忙しい  作者: 護郷いな
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丈夫な春子

じゃっぱ。

じゃっぱ。

ジャリ、ジャリ、ジャリ。


「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ...っ。も、もうムリ。動けん。」

〝し、死んだと思った...。〟

(いや、違うな。今回も精霊だから助かったんだ。よかったココに時渡りの神がいなくて。また怒られるとこだった。)


スケルトンは氷上を滑走する競技だが、キャリーケースに腹ばいになった春子は、そのまま山の斜面を滑走し、途中激しくクラッシュすると勢いよく宙を舞った。

...が、それは僅かな時間で次には真っ逆さまに急降下すると、そのまま山の麓に流れる川に落ち派手に水柱を上げた。

そしてそのあとは必死に川を泳ぎ、河岸近くまで来て足が地面に着くようになると水を含んで重くなった服にもたつきながらも、なんとか砂利を踏み締め川から這い上がり、そこで仰向けに倒れた。



春子は息を整えながら頭だけを動かし山に目を向ける。


しかし泳いでいる間に日没を迎え、すっかり夜になってしまったためハッキリと山頂を確認することはできず山の稜線がぼんやり浮いて見えた。

(これから山頂まで登山とかムリだわ〜)

そう思うと、今度はその辺りを浮遊している優しい光を放つ球体を目で追う。

(...そういえば、いつだったか神域で読んだ本に妖精は満月の日に妖精の花に宿ることが多くて、新月に誕生することが多い。と記載されていたな。)

それを思い出した春子は夜空に浮かぶ月を見る。

(今が上弦の月5,6日目だとすると、あと10日しないくらいで満月か...。土地はあるからどんだけ宿ってもらってもいいわけで、賑やかな精霊の地になるといいなぁ〝「ふぇ」〟)

「ふぇ、ふぇ、ぶふぇくしょいッッッ!」

ここで続けてくしゃみを連発すると、春子はさすがに濡れたままはマズいか。と立ち上がり周囲を見回す。

するとそこにキャリーケースが落ちているのを発見した春子は疲労困憊の体に鞭を打って駆け寄り、中から着替えと、ついでに絨毯も引っ張り出せば、着替えを済ませたのち腰を下ろした。


(...なんかこの感じ、この世界に来てすぐの夜を思い出すな。まだ数日しか経ってないが...神様達みんな元気かなぁ〜。)


「....ん?」


ぼぉ〜っと体育座りでそこにある川を眺めていた春子は、ここで何かに気付いてそう声を漏らすと再び立ち上がり、川際に立つ。

そして水の中を〝ジッ〟と凝視する。


「お。やっぱりめっちゃ光ってんじゃん!」


はじめはただ水面が月明かりに照らされ、反射で〝キラキラ〟しているのかと思ったが、何かその不自然な光り方に違和感を覚え、川を覗き込めば水底に沈む石(?)が白い光を放っているのが分かった。

(何だろ。石に見えるが生物か?)

見たことないソレに春子は興味本位で手を伸ばし適当に一つ掬い上げる。

しかし水から出した途端、それは光を失い、ただの石と化した。

(?????)

それを不思議に思った春子は手にしている石を再び水中に戻す。

すると、石は再び発光し、それに春子は沈めて、掬ってを何度か繰り返す。

「へぇ。いいねコレ。」

そう言うと次に春子はキャリーケースと収納魔法陣を漁り、使えそうな瓶が無いかと探す。

だが結局どれも中身が詰まっており、考えた末、ケーキが盛られた皿の空いたスペースに、ジャムを全部出すことで空き瓶をつくった。





「おぉ〜。(結構明るい)」

川の水と石を数個入れた瓶を自身の目線の高さまで持ち上げ、軽く振って観察する。

(ホント石に見えるけど、ホタルイカみたいな器官でもあったりするんだろうか.........エッ!?)

しかしここで春子は覗き込んだ瓶越しにある物が視界に入ると、瓶をキャリーケースに仕舞い、双眼鏡を取り出してそれを見る。


「...間違いない。」


暗くて気付かなかったが、川を挟んだ対岸に〝転移の扉〟がポツンとあった。

 

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