極秘
その日、テルサ国から各国に届けられた書簡の内容に、国連に加盟する国の者たちが騒ついた。
「凄いですね。300年ぶりの魔女ですか。」
「一体どの様な人物なのでしょう。」
「称号は何だったか。」
「呪い、呪いの魔女だって」
「それは危険人物なのでは?」
「どうかな。魔女という存在自体、元から安全とは言い難いんじゃない?」
「どうやら他国の魔女は、その呪いの魔女のことはまったく知らないらしいぞ」
「ええ!?そんな事ってあるの?元はテルサの研究員でしょ?」
「それがテルサの出身のようではあるのだが、他の情報がさっぱり入ってこない」
「入ってこないって。お前の隊をもってして情報が掴めないなんて事あり得ないでしょ。存在してんの?そいつ」
「大体さ、テルサの広大な精霊の地は、精霊の神の加護の助けがあるから数人の加護持ちの魔力でも管理できるんだろ?
でもここは違う、神の加護なんて無い、それでテルサの次に広大な精霊の地を管理することになる、それには当然膨大な魔力が必要になる訳だ、なのにその魔女たった1人がやって来て管理できるっていうのか?」
「そいつ人間か?」
「さあな。人間じゃないならなんだ。魔物か?」
「超〜気になる!」
「しかし国が干渉することはできん。」
「別に一個人として近付くのはアリでしょ。」
「しかし精霊の地がある魔女の森には許可なく入れんだろ」
「いくらなんでもずっと森にはいないでしょ、そのうち王都に来るかもだし」
「見たこともないのにそれが魔女だとわからんだろ」
「地方の街は入管手続きないから気付かないかもだけど、王都は入国に審査あるから街の警邏してる奴らに話を通しておけば魔女が入国した時点で分かるんじゃね?」
「そうですね。あとは一度、城で着任を歓迎する式を行う事になると思いますよ。その時に見れるのでは?」
「あぁ。そういうのがあるのか、なんせ300年ぶりだからそういう式をするのも知らんかったわ」
「まぁ。今までそのような魔力をもつ者がいるという情報も一切なくいきなりの事ですからね。テルサ国の一部の者だけで秘匿されてきた人物なのか、だとしたら何故、今公表し派遣を決めたのか気にはなりますね。」
そして国の中枢を担う者たちが極秘に動き出した。




