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五ノ話・四
しかし、愚かな土地神に借金を返す当てなど、あろうはずがございませぬ。
私はこの土地神を地獄に連れて行くことにいたしました。
すると、何とも情けないことに、土地神はこの期に及んで私に泣きつき、命乞いを始めたのでございます。
私は意に介さず、こ奴を地獄送りにするつもりでした。
しかし、土地神はこんなことを私に言ってまいりました。
「わしの代わりに人間を生贄に捧げる。
だから、どうかたすけてくれ」
己の愚かさが招いた罪を、他の者を身代わりに立てて逃れようとする土地神に、私は呆れ果てました。
しかも、代償がたかが人間の命だと申すのです。
当然のことながら、私は断りました。
それでも、土地神の哀願は収まりません。
続いて、
「ただの人間ではない。貴人を生贄に捧げる。
だから、たすけてくれ」
そんなことを言ったのでございます。




