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四ノ話・十七
信長公より遣わされておりました家臣の者が去ると、秀吉さまと官兵衛さまは2人きりとなりました。
すると、官兵衛さまは秀吉さまのすぐ側まで参りました。
そして、主である秀吉さまの耳元で何ごとか囁かれました。
周りには誰もおらぬというのに、官兵衛さまはずいぶんと気を配っておいででした。
「官兵衛は藤吉郎に何と言うたのじゃ」
信長が問うた。
急いた様子だった。
修羅ノ介は、一呼吸置き、続けた。
「ご運が巡ってまいりましたな」と。
それを聞いた秀吉さまは、立ったまま唖然とされていたのでございます。




