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一の巻・九

男は再び辺りを見回しました。

しかし、誰もおりませぬ。


「おい、ここだ、ここだ、下を見ろよ」


声がいたしました。


それを聞いた男の顔は青ざめ、唇は震えておりました。

邪な考えで来ているにもかかわらず、何とも情けないことでございます。

男は逃げ出したい気持ちを抑え、おそるおそる顔を下に向けました。


すると毘沙門天の足の下、踏みつけられた鬼が男を見上げておりました。

その口からはどす黒い舌がのぞき、目には闇のごとき漆黒の瞳が宿っております。


男の驚きようは、大変なものでございました。

逃げ出すことが出来たなら、そうしていたに違いありませぬ。

しかし、男がこの場から立ち去ることはございませんでした。

腰を抜かしていたからでございます。


男を見上げる鬼はほくそ笑むと、さらに声をかけました。


「何と言うたのじゃ?」


武将が待ちきれぬように問うた。


「こう言ったのでございます」


男は話を続けた。

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