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四ノ話・十四

「恐れながら、お館さまがお亡くなりになるなどと、そのような不吉なこと、仰せにならるるは避けるがよろしいかと存じます」


蘭丸はそう言うと頭を下げた。


「仮に、の話じゃ。生きていれば、思いもよらぬことというものは起こるものじゃ。わしが大方の見通しを違え、桶狭間で今川を討ったようにな。

蘭丸、そなたもいずれ人の上に立つ身じゃ。そうしたことも少なからず考えておかねばならぬぞ」


「さようでございますれば、申し上げます」


蘭丸は恐縮しながら続けた。


「お館さまにはご子息がおられ、跡目も定まっております。万が一でございますが、お亡くなりになられました際には、嫡男である信忠さまが後を継がれ、織田家、ゆくゆくは天下を治めていかれるかと存じます」


「そうよのう。そうなったならば、藤吉郎に何の得があろうか。

わしが死に、信忠に代わると、何か異なることがあろうか」


「それは私にもわかりかねまする。

ですが、お館さまのような偉大なお方が亡くなられたとしたならば、世は乱れやすくはなりましょう。

信忠さまは人望の厚き優れたお方でございますが、まだお若く、経験の面では不足しております。

もちろん、お館さまと比較したならば、ということでございますが」

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