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一の巻・八

しかし、恋い慕う奥方の夫を呪い殺そうなどという不条理な願い、毘沙門天が聞き入れるはずがありましょうか。


これには、毘沙門象に踏みつけられている鬼もせせら笑っていたのでございました。


ところがこの時、鬼の頭にある考えがふと浮かんだのでございます。




この愚かな男を使えば、ここから逃れることが出来るのではないか。


さっそく、鬼は男に声をかけました。


それは、しわがれた、何とも薄気味の悪い声でございました。




声をかけられた男は、びくりと肩をすくめた後、おそるおそる周りを見渡しました。


しかし、辺りには誰もおりませぬ。


男は、あちらこちらへと目をやりました。


しかし、この場には誰もおりませぬ。


もしやと思った男は、毘沙門像を見上げました。


しかし、男が願をかけた毘沙門像は恐ろしい顔をしたまま、動くことはありませんでした。




「何だよ、俺としたことが。こんなことで怖気づくとはな」




男が額の汗を拭いながら、そう呟いた時でございます。




「おい、ここだ、ここに居るんだよ」




またしても不気味な声が毘沙門像を祀るお堂に響いたのでございます。

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