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四ノ話・四
檻に入れられたその異形の者は、赤子ほどの大きさでございました。
全身が毛むくじゃらで猿のようでございますが、猿にはあらず。
顔だけは多少なりとも人に似ておりますが、しわくちゃで、まるで年老いた翁のよう。
このような物は、秀吉さまも官兵衛さまも、さらには他の家臣の者たちも、誰一人として見たことがありません。
この時、秀吉さまは不機嫌な表情を浮かべ、この化物を連れてきた家臣の方へと向き直りました。
「これは、わしが猿と字されていることへのあてつけか。
このような気味の悪い物、見とうないわ。とっとと連れて行き、殺してしまえ」
秀吉さまは家臣たちをそう怒鳴りつけました。
これを受け、家臣たちは恐縮し、額を地に擦りつけました。
と、その時でございます。
「たすけて下せえ」
突如、聞きなれぬ声がいたしました。
それは、しわがれた、たいそう気味の悪い声でございました。




