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一ノ話・十六

信長を含め、みながこの御伽師の話に聞き入っていた。

修羅ノ介は、そうした者たちを上目遣いに見ながら言った。


「実は、桶狭間にて降りし雨、これは信長さまが熱田神宮に参拝の折に現れた黒蛇が降らせたものでございました。

熱田の神宮にて言いし通り、たしかに蛇は信長公を戦において勝たせたのでございます」


場は静まり返った。

相変わらず、この間でただ一つの灯り、修羅ノ介の斜め前の蝋燭の炎がゆらめいていた。


「無礼な。今川を破りたるは、お館さまの力が敵に優ったゆえよ。

断じて蛇の力などではないわ。たかが御伽師風情が何を言う」


蘭丸が声を上げ、修羅ノ介の前に進み出た。

小太刀を抜き、目の前の修羅ノ介に突き刺さん勢いだった。

それでも修羅ノ介が動じることはなかった。


「やめぃ」


声が響いた。

信長だった。

蘭丸はそちらに顔を向けた。


「なかなか面白い話をするではないか。

引かんか蘭丸、大人げないであろう」


信長に言われ、蘭丸は引き下がった。


「他に話はあるか」


信長が問うた。


「ただ今の話、まだ続きがございます」


「ほう、ならば話してみよ」


「信長公がこの黒蛇に会われましたのは、この時ばかりではございませんでした」


「なんじゃと?いつ会うたというのじゃ」


「それは・・・・・・」


修羅ノ介は、深々と頭を下げた。

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