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一ノ話・十二
「夜は更けてまいりました。
しかしながら、この時分は御伽語りをするによろしき刻にございます。
話を続けさせていただきますが、よろしいでしょうか」
「うむ」
信長はうなずいた。
「どのような話をご所望でございましょう」
「どんな話でもかまわぬ。
わしを唸らせることが出来ればよい」
「なれば、信長公が駿河の今川義元と戦い、打ち果しました話をいたそうと存じます」
「なんと、わしと今川が戦った桶狭間の話をすると申すか」
信長は膝をたたき、その場で座り直した。
両の目はさらに大きく見開かれていた。
「さようにございます」
「面白い。しかと聞かせてもらおう」
信長の言を受け、修羅ノ介は語り始めた。




