表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/115

一の巻・三

ある月の明るい夜のことでございます。

上杉家当主の屋敷に忍び込んだ鬼は、寝所におわしました謙信の元へ忍び足で近づいていきました。

無論、謙信公の命を取るためでございます。


屋敷の廊下をしばらく進んだ時でございました。

不意に、耳障りな音を鬼は聞いたのでございます。

それは、ぺしゃり、という音でございました。

この時、一体何が起きたのか、鬼はよくわからなかったのでございます。

同時に、鬼は一瞬だけ、体中に言い知れぬ程の痛みを感じ、その後には気を失ってしまいました。


さて、鬼が目を覚ましてみれば、自身の醜悪な体が床板の上で横に倒されておりました。

鬼はどうにかして辺りを見ようといたしましたが、顔の片側、顎から頬、さらにはこめかみにかけて、重石のように何かが乗っておりました。

そう、それはたいそう重かったのでございます。

そのため、鬼の見開かれた目はこの時、廊下の壁と床しか見ることが出来ませんでした。

鬼は顔の片側が潰れ、無残に舌を出したまま、廊下に転がっておりました。


「誰じゃ」


鬼は、そう問うたつもりでございました。

しかし顔が潰された鬼の口からは、声が出てこなかったのでございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ