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一の巻・二

「さすれば、謙信公の話をいたしたいと存じます」


男は澄んだ声で答えた。


「謙信とな。上杉謙信か?」


「はい、越後の虎と呼ばれておりました上杉謙信公。

その最期について語りとう存じます」


「それは面白い。是非に聞かせてくれ」


武将の言葉を受け、山伏姿の男は深々と頭を下げた後、語り始めた。


「謙信公が在所にて亡くなられたのは、齢四十九の時でございました。

甲斐の武田信玄公とは川中島において五度にわたって戦い、亡くなられる前年には、加賀手取川にて織田信長の軍勢を敗走させております。

いかに謙信公が強かったか、今さら語る必要はないかと存じます」


「たしかに、謙信は恐ろしく強い男だった」


男の目の前の武将が、二度三度とうなずきながら言った。


「ところで、ある時、この謙信公のもとへ一匹の鬼がやってまいったのでございます」


そう言うと男は、目の前の武将をちらと見て、再び語り出した。


「この鬼は人と変わらぬ背丈でございますので、さほど大きくはございませぬ。

しかしながら、この鬼は、死を司っているのでございます」


「死を司っている、とな?」


「この鬼、邪鬼と申しましょうか、憑りつかれたが最後、その者は死を迎えてしまうのでございます」


「む・・・・・・」


武将は言葉に詰まった様子だった。

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