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一の巻・十八

「あなた様の命をいただいても、よろしゅうございますか?」


鬼は謙信公にそう尋ねたのでございます。


「もし、問われた者が否、と答えたならどうなろう?」


武将はすぐさま口をはさんだ。


「閻魔帳に名が記されていたとしても、その者があの世へ行くのを拒んだとしたら、どうなるのであろうか」


武将は追い詰められた表情をしていた。

対照的に、男は平然としたままだった。


「命を求められた者が、是と答えるはずはないでしょうが、否と答えたところで、命がたすかるわけではございませぬ」


「どういうことだ」


「鬼がかように尋ぬるは、いわば慣例のようなものでございます。

この狡猾な輩は、問われた者が何と答えるかには、さして関心を抱いてはおりませぬ。

この者は、問われた者がどんな顔をしているか、それを見るを愉しんでいるのでございます」


男は言い、笑った。

かすかな笑いだったが、対面に座す武将には、それがはっきり見えた。

武将はぶるっと震えた。

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