第5話「マカイってどこの国でしょうか?」
「で?」
「で、と、申しますと?」
「だーかーらー!!あんたは一体何者で、俺はなんでこんな所にいるのかって事を聞きたいの!!」
「んー、きっと、言っても信じられないと思いますが」
「じゃあ信じられるように説明しろよ!!」
「そんな滅茶苦茶な・・・」
今俺は、ついさっき知り合ったばかりの、謎の優しそうなお兄さんと一緒に薄暗い廊下を歩行し続けている。
頼りとなる灯りは彼の持っているランタンだけ。
しかも、城の中だというのに、この廊下にはそこら中に石が転がっている。足場が大変よろしくない。
「ねぇ、ずっと思ってたんだけど、この石何?歩きにくくてしょうがないんだが」
「ああ、すみません。この廊下はこうしておかないと大変な事になるので・・・」
「大変な事?」
「はい。この石なんですが・・・」
謎の優しそうなお兄さんは、そう言って足元に転がる石をひとつ拾った。
(この呼び方もうやめていいかな・・・)
すると、なんとその石がもとあった廊下の一部分が、一瞬ぐにゃりと歪んで、またもとに戻った。
「うあ!?なに!?ねぇ、ちょっと!!今なんかぐにゃってなったよぐにゃって!!」
「この石は制石といって、あるゆる衝動を押さえ込むという、なんとも謎な力を持つ石でして・・・」
「は!?なに!?ちょっと!人の話聞きなよ!!今なんかすごかったんだけど!!」
「この石の力で、この廊下の次元を超えようとする衝動を鎮めているわけです」
「だから話聞けって!!これなに!?なんでぐにゃってなったの!?超常現象!?」
「ちなみに、この石は大変なマゾなので、踏んでくれないと怒り出します」
「ちょっと待て、この石生きてんの!?てかマゾかよ!!てか次元って!?なに、なんなの!?」
もう何がなんだかもうさっぱりだ。
・・・これ夢かな。
でも夢にしちゃちょっとリアルすぎるな・・・・。
なんだろうな・・・・・。
「落ち着いてください、陛下」
「これが落ち着いてられっかよ・・・。床がぐにゃってなったんだぜ?ぐにゃって。CGかよ!!・・・しかもよく見るとこの石顔あるし」
「正式には制石ですが、敬意を持ってマゾ子さんと呼んであげてください。喜びます」
「しかも女かよ!!・・・もういったいなんなんだ。もしかして俺今超ミラクルびっくり体験とかしちゃってる?」
「そうですね。マゾ子さん関連だけではなく、陛下がもとの世界から今いる魔界へやってこれたのも、陛下にとっては超ミラクルびっくり体験と呼んで差し支えはないでしょう」
「ちょ、今なんつった!?魔界!?もとの世界から!?待ってお兄さんソレなんの話!?」
たった今、聞き捨てならない言葉ををこの男はあっさりと口走った気がする。
今こいつが言った言葉が嘘ではないなら、ここは地球ではなく、別のどっか。
しかもマカイなどというなんとも不吉な名前という事が判明。
ここがあの"魔界"だなんて事は絶対何がなんでもないよなっ!!あはは!!
「おっとー、これはいけないー。うっかり言ってはならない事を口にしてしまったー」
「ちょっとお兄さん!?超棒読みなんですけど!!わざと!?絶対わざとだよね!?」
すると男は、一瞬クスリと笑ってから、俺の方を見て言った。
「大丈夫。しばらくしたら、ちゃんともとの世界に帰れますから」
「・・・はぁ。てか本当にここって別の世界って感じ?まさかマジで異世界?」
「こんな場所じゃなんですし、目的地に着いたら全てお話しますよ」
「・・・・・てか、あんた名前は?俺は勇人だって、さっき言ったよね。あんたは?」
「私は、レフォンベルト・ヴォルウェン。これから、貴方の護衛、そして、同じチームの仲間として、共に過ごさせて頂く予定です。よろしくお願いします」
レフォンベルト・ヴォルウェンは、俺に向かってそう言い、優しく微笑んだ。
高校受験が終わったので、執筆再開したいと思います!!
ちなみに、結果は無事合格しました^^