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違う場所で同じ月を見ている  作者: 佐藤琉奈
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嫉妬

正人とは友達以上恋人未満のまま、夏が終わりを告げていた。

冬に入る前、大都会でもない夜の街は客入りがかなり厳しくなる。暇な日が何日か続いたりいわゆる暇疲れに陥ったりする。そんな頃"B"に何個か年下の健吾という人懐っこい男の子が常連客として仲間入りした。

私の事を沙也香さんや姉さん(笑)と呼んだり、同業らしいが詳しくはわからないけど、盛り上げるのも上手いしみんなに可愛がられている。

「沙也香さんて彼氏いないの??」

久しぶりにお客以外からその言葉を聞いた。

「んー今はいないよ。」

なぜ「今はいない。」なんて答えたのかは自分でもわからない。

「ふーん、そうなんだ。俺、年上の人めっちゃ好みなんだよねぇ」と、健吾は甘えるようなそれでいて挑発的なような笑顔で私を見ていた。

笑うと目がなくなってしまいそうになる健吾が普通に可愛くて思わず苦笑いをした。こんな無邪気な男は珍しく、急に自分の年を感じてしまった。


その日の夢

企業主催のパーティーに招待され、私は正人と一緒に参加していた。

正人はグレーのスーツ、私は胸と背中の空いた黒のロングドレスを着ていて、シャンパンやオードブルなどモノクロの世界なのにとても華やかさが際立っていた。

時間の経過とともに、ある一定の視線を感じて見上げると、2階の会場を見渡せるところに彼の姿があった。

その時に初めて彼の全身をまともに見たかもしれない。

彼は濃い緑色のシャツに黒いスーツが物凄く似合っていて、かなり年下なのに、ため息が出るほどの色気が滲み出ていて、素直にかっこ良いと感じた。

正人と、知り合いに挨拶をしながらシャンパンを飲んだり談笑をしていると、ふと彼から視線が離せなくなった。

ずっとこっちを見ている目線が私に突き刺さるような感覚。

しばらくしたら彼の横にオブジェのように飾られてある壺を、彼は物凄い勢いで床に叩きつけたのだ。

私を見ながら嫉妬と怒りの表情をしている彼に驚き、夢の中なのにすごく動揺している自分自身…。

壺がガシャーン!と割れた音の衝撃で目を覚ました。

まだアラームは鳴っていなかった…

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