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違う場所で同じ月を見ている  作者: 佐藤琉奈
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彼との最後の夢

オープン1周年の記念日の前日だったからよく覚えている。

アラームより結構早めに目が覚めてしまって、ベッドの中でうつらうつらともう一度眠ってしまった時に見た夢。

この夢が彼との最後の夢になった。


気付いたら目の前に彼の背中が見えた。そこは珍しく光が当たっていて眩しいくらいだった。

目の前にいるのにずっと後ろ姿だけ。彼は明るめなグレーか薄い緑色の、セーターかカーディガンを着ていて、私に振り向きもせずに歩き出してしまう。

呼び止めることはできないから、手や服を掴もうとするんだけど、近くにいるのに遠くてどんどん彼は先に行ってしまう。

今までにない展開でとても悲しくなった。

彼のあとを追いかけようとしているのにまったく追いつかない…

結局顔も見れず、私の方に振り向きもせず彼は行ってしまった。悲しくて涙が溢れる。

あなたに伝えたい言葉「愛してる」も伝えられないまま、寂しくてどうにもならない気持ちが宙を舞った…

目が覚めても涙が止まらない。

こんなに切ないのは心の奥底で彼は本当に行ってしまったと感じているからなのか。

その日は店員やお客に瞼が腫れていると指摘されるほど泣き腫らしてしまった。


今思えばこの夢が彼との本当に最後の夢だった。

あれから何事もなく時は進んで行き、夢を見たことさえ忘れていく。

変わったことがあったと言えば、SNSに知らない謎の人からのいいねが増えたことくらい。

それまでは同業者か来店してくれたお客様など、まったく謎な人物からいいねがくるなんてことはとても不思議だった。


あとはDeparturezにハマったことかしら。

年甲斐もなく、彼らの作品やYouTube、SNSなどに魅力に釘付けになってしまった(笑)

Departurezのメンバーは直人(なおと)(そう)勇輝(ゆうき)(いつき)翔太(しょうた)陽斗(はると)拓馬(たくま)智也(ともや)の8人でリーダーは直人、主なボーカルラインは樹と拓馬と智也で、蒼、勇輝、翔太、陽斗はダンスの振り付けやラップなどを担当している。

全員ダンスはキレッキレで、蒼はヒップホップ系の重みのあるダンススタイル、翔太は現代舞踏系の華やかさとしなやかさを強調するダンススタイル。特に私は蒼のダンススタイルが好きで目を奪われている。

年齢は26歳~22歳で蒼は24歳。自分よりも10歳以上も年下のアーティストにハマるなんて思いもしなかった。

彼氏がいなくったって、結婚しなくったって人生を楽しむ方法はあるのだと思った。

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