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違う場所で同じ月を見ている  作者: 佐藤琉奈
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彼に見せたかった風景

週に一度の店休日は月曜日。

今日の休みはディスカウントショップへ行って来た。

ずっと店の事ばかり考えていたので、たまには気晴らしにと出掛けてアンティーク風の置時計と可愛らしいサボテンを買った。

植物を見ているだけで心の癒しになる。大きくなるといいな。いい買い物をした。

少し歩き過ぎて疲れたのか、ソファーの上で眠ってしまった。

久しぶりに彼との夢を見た。



山の奥で大きな川になる前の、源流に近い川のほとりで、モノクロだけど流れる水の音や、遠くに聞こえる鳥の声。

私の大好きな癒しの場所に、ふと気付いたら隣に彼がいた。

何かあったのかしら?なんだか傷ついているような、心の中で泣いているような、寂しげな表情に思えた…


しばらく考えた後、彼の手を引っ張って私のよく知っている場所に移動した。

そこは都会のビルや街並みが見渡せる小高い丘の公園ようなところで、二人でそこにある木のベンチに座った。

時間が経つと共に、高層ビルの隙間からゆっくりと太陽の光がまぶしく差し込んできて、静かな夜明けの瞬間が朝日と共に訪れる光景がとても美しい。

高層ビルのあの街の中にいると、雑踏や人々の声や様々な騒音がうるさくて、自分を見失うような気持ちになることもあるけど、遠く離れてみると美しい景色を見ることもできるよ。と、ゆっくりと差し込んでくる朝焼けの空を見せてあげたかった。

それから彼は朝焼けの空をじっと見つめていて、その横顔を見たらなんとなく自然に彼を抱きしめていた…

人は、気付かないうちに誰かに傷付けられたり苦しめられたり、逆に自分が気付かないうちに誰かを傷付けたり苦しめてしまっているかもしれない。

だけど、傷付いた人に手を差し伸べられるのも人。

人だから心が傷付くこともあるし、人だから誰かの足りないところをカバーできるんだ。


そしたら彼が私を引き寄せ、頬っぺたに「チュッ」と軽くキスをした。なんだかくすぐったい感じがしてニヤけてしまった。

二人で笑顔で朝日を見つめていた。


彼との夢は本当に久しぶりだった。

1年近く見てなかったんじゃないかな?相変わらず大きな目に高い鼻、ただあの表情が目に焼き付いている。

傷ついているような寂しげな顔…

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