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違う場所で同じ月を見ている  作者: 佐藤琉奈
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雷雨

外はまだ午後の1時なのに暗く、遠くの空で雷が鳴っている。

せっかくの休みの日が、今にも降り出しそうなどんよりとした雰囲気に、出掛ける気もなくなってしまった。

買ってはみたものの読んでいない雑誌に手を伸ばした。

そうね、今日はのんびり過ごそう。

雑誌に目を通しているうちにいつの間にか眠気が襲ってきた。


ただ何も無い白というには明るすぎる、白みがかった温かいオレンジ色のような空間。彼と私はとても近い距離でお互いに向き合っている。

私たちは透明なようで透けてないし、向き合っているが重なっているような感覚がある。

2人で立っているけど、一緒にゆっくり回転しているようで時間が止まっているような気もする。

彼と私の鼓動が聞こえるほど静かで穏やかな空間。

なんだか奇妙な光景に思えるけど、確実に温かい愛情のような輪に包まれている空間。

そしてお互いの手と手を合わせた時に、少し間を置いてからゆっくりと彼の手に私の手が透明に交じり合っていく。

『愛してる… 愛しているよ…』と彼と私お互いに心の中で囁いているようで、自分がずっと探していたものに巡り会った、この愛情に満ち溢れている感覚が全身を包んで、愛されてると実感したら温かい涙が溢れてきた…

「好き」「大好き」「愛してる」と言葉で表現するのは簡単だけど、そんな言葉では表しきれない愛情のかたまりに触れている感覚。


ゆっくりと目を覚まして現実に戻った。

外は激しい雨音がする。近くで大きな雷が落ちたようだ。

青白く一瞬だけ光る美しい稲光を見ながら夢の余韻に浸っていた。

例え夢の中だとしても、生涯のうちにこの様な愛情で満ち溢れている感覚は何度も経験することはないだろう…

夢の中の彼は、もしかしたら私自身なのかもしれない。

それでもこんな幸せな気持ちになれる夢を見たことは、きっとこれから意味のあるものだと思う。喜びの涙はとても美しい。バカバカしい話だけど、初めて名前も声も知らないあなたと実際に会ってみたいと思った。

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