EX/Sub:"9th-Generation Fighter"
《機密性2》先日の案件について
From:**********@******.go.jp
To:********@******.go.jp
>>Security clearance
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>>complete.
吾妻大尉
技術開発部の蓼科です。
先日は試験飛行への協力、ありがとうございました。レポートに関しては後程共有させていただきます。
早速本題に入りますが、先日少々お話させていただいた新規プロジェクトに関してのご報告です。
現在のプロジェクトの進行状況について、レポートをサマリーの部分のみですが先んじてお送りさせていただきます。
本プロジェクトは、吾妻大尉の協力あればこその部分も多く、その際につきましては多大な協力を依頼することになると思われます。
スケジュール管理に関しましてはこちらで請け負いますので、詳細に関しては後日お送りさせていただきますプロジェクトレポートと、日程が決まり次第会議の次第をお送りさせていただきます。
改めて、よろしくお願いします。
>>>>>Attachment file
>>>>TXT Unpacked
>>>Project:9th Generation Fighter Bot
>>Project code:XF/A.b-00"Stolas"9GF
〇Summary
ユニオンはカウンターステルス能力を持ち、無人機を要素に取り入れた第6世代戦闘機ブラックオウル、大気圏離脱性能を備えた第7世代戦闘機ストラトオウルを運用中だが、今後の技術発展により、宇宙空間でのドッグファイトが懸念され、宇宙空間での戦闘能力を獲得した第8世代戦闘機、大気中から宇宙空間まで幅広い運用能力を備えた第9世代戦闘機を開発する必要があるとの予測を立てた。
そして、第9世代戦闘機に求められる高度な格闘性能や、宇宙空間での地上以上の遠距離からの攻撃を行い、またそれの回避、様々な環境への適応、上下左右の区別がない空間での機動戦闘など、これらの条件を満たすために考えられたのが、戦闘機の『人型化』である。
本機は、従来のような『ファイタージェット』ではなく、『ファイターボット』と現時点では仮称される。
本機は試験機体であるため、今後追加の試験技術を搭載できるようにあらかじめある程度の冗長性を持って設計される予定である
本戦闘機は非侵襲型の神経接続デバイス、生物の骨格をベースとした駆動システムを有する。このブレイン・マシン・インターフェイスによりパイロットの思考による柔軟な動作を行うことが可能で、全高23メートルとSu-34戦闘攻撃機に匹敵するサイズながら、マニピュレーター単体の試験においてはスイカを潰さずつまむことができるほどの精密な動作を行ったという報告が上がっている。
現在制作中の内骨格には実験的に”高密度核子欠損型融合原子核素材”を用い、実用化されている、炭素鋼の二百数十倍の強度を持つカーボンナノクリスタライズドセラミック(CCC素材)のさらに数千倍の強度を備えている。
一方、材質試験によりタングステンの250倍の密度という非常に重い重量が発覚している。骨格のごく一部の強い応力がかかる部位や、他パーツと接触する関節部の表面などに原子数十個分のフィルム状にごく一部にのみコーティングや複合材の一層として用いるものとして、現在製作が行われている。
それ以外にはCCC素材を使用予定。
本機は基本的に『骨格』の上に、機体への動力・信号伝達を行う量子もつれ光ケーブルの『神経』、金属シリコン製人工筋肉アクチュエータの『筋肉』を配置するという、内骨格的な設計をされている。これは機体の駆動性を初期設計案の外骨格型に比べ飛躍的に向上することが見込まれるが、同時に整備性の悪化が懸念されている。
人型機動兵器の製造・整備ノウハウも含め、今後の機体組み立ての際や試験飛行の際にフィードバックを行っていく予定。
これらの『内臓』の上に、CCC素材をベースに試作型の”黒体装甲”を用いた装甲を『皮膚』として被せており、これにより熱に対する非常に高い防御力を持っている。
黒体装甲は、外部から受けた熱を即座に装甲全体に電波、電磁波として再放出する、という性質を持った装甲であり、現在技術部第二課材料工学系が量産のための最終試験を実施中。
非常に高い熱伝導率、そして放熱により、ジェネレーターや各装置の冷却を担っており、いわば装甲が巨大なラジェーターとなっている。
この黒体装甲は、今後行われる第9世代戦闘機同士における格闘戦の際、宇宙空間では減衰や偏向の少ないレーザー兵器が多用される可能性を見越して開発が進められており、将来的には航宙艦の装甲などにも使用されることを見越して開発されている。
現段階では物性試験により、
>①やや重量が嵩むこと
>②ある程度の体積がないと十分な性能を発揮しないこと
が判明しており、小型化は課題が非常に多いため、現時点ではファイターボット、大型艦船、基地の外装などに使用が検討されている。
黒体装甲の搭載により、本機は熱による攻撃に大きな耐性を持つことが予想され、シミュレーションでは十分に損傷を与えられるのは重粒子ビームか超高速実弾、それか黒体装甲を強引に突破するほどの極めて強力なペタワット級レーザーによる飽和攻撃のみとなっている。また、軌道上からの再突入も可能との試算が出ている。
過熱が続くと電磁波放射により放射スペクトルがマイクロ波から赤外線、可視光線へと変化していくため、熱を過剰に受けた場合は発光する。これはステルス性という観点において大幅なデメリットであり、機体運用においてどの程度ステルス性が損なわれるのかに関する検証も行う予定。
本機の動力源には、試験運転が終了している
>〇XBhG-1"Aira"ベッケンシュタイン・ホーキング型ブラックホール炉(Xnumber Black-hole Generator)
を搭載する予定である。
これは炉内部にマイクロブラックホールを生成し、物質を100パーセントの効率でエネルギーに変えることのできる画期的な動力源である。同時に、マイクロブラックホールの表面で発生するエキゾチック物質をコントロールし、機体背部のスラスター状メイン、機体両腕部、腰部、脚部のひれ状サブの推進装置に流入させることで『人工重力』を生成することができる。
この人工重力が、ファイターボットの主な推進力になる。
現在、この炉の起動に必要な高速荷電粒子を生成するために、XBhG-1とは別に
>〇FuG-25"Veniaminof"ミューオンアシスト式トカマク型核融合炉(Fusion Generator)
をスターターとして搭載する予定である。FuG-25のスタートアップに用いる大容量バッテリーは現在未完成のため、試験時には外部電源に接続した状態でスタートアップを行う予定。
基本的に推進を重力制御で行うため、機体の推進は『推進』しているというより、『意図した方向に落下』しているといった形になる。このため、原理上機体は真空中であるとエネルギーの続く限り無限に加速することができる。
一方、大気中においては
>〇『推進』ではなく『落下』しているという性質
>〇他質量が多く存在している状況でのエキゾチック物質の出力低下の問題による『比推力』の発生
>〇多少の空力は考慮されているとはいえ宇宙空間での戦闘のための人型化上、空気抵抗を大きく受ける
以上の理由により、『終端速度』が発生することが予測される。
現在想定されている本機のスペックでは、1気圧下において本機の終端速度はマッハ1.5となり、これは現存している戦闘機に比べて劣る性能となってしまっている。
このため、機体内部に小容量、外付けに大容量のドロップタンク(追記:燃料は運用上の都合も含め軽水)を接続できる設計がされており、それを核融合炉の高速粒子で核反応させて噴射することによる『アフターバーナー』(追記:仮称である。)を搭載予定である。
『アフターバーナー』の使用に関しては、ドロップタンク非接続時には120秒。接続時には320秒の設計となっている。
重力制御による飛行という特性上、パイロットには加速Gがかからないが、『アフターバーナー』使用時には加速Gがかかる。
重力制御により、機体が推進しようとする際には周囲に重力場が発生し、これは機体以外にも作用する。
整波装置の試験中には、重力場に巻き込まれて周囲の機材が吹き飛ばされる事故が発生している。これを踏まえ、本機の試験の際は大型のヘリポートや滑走路での離陸を行う。
(追記:空母からの発艦の際は空母本体への影響を最小限に抑えるため、『アフターバーナー』を使用しつつカタパルトで射出し、一定距離から重力制御を開始する必要があるとみられる。(追追記:このため、将来的に運用する宇宙艦にカタパルトか、機体をリリースするためのそのほかの何らかの設備の設置が必要か))
センサーは機体各所に設置する設計となるが、最も大型のセンサーは可動式の頭部ユニットとして設置する。
頭部は『首』にあたる部分のアクチュエーターにより、左右に70度、俯角10度、仰角50度に旋回させることができる設計になっている。
頭部は空力を考慮したやや前後に細長い形状をしており、『額』から『頭頂部』に当たる部分にブラックオウル戦闘機から流用された多目的センサーが取り付けられている。
また、左右に2基ずつの大型センサーがスリットカバーの内側に取り付けられており、索敵のほか射撃時の照準制御を補佐する。側頭部に当たる部分からは左右2対のセンサーブレードが前方35度、60度の仰角をつけて取り付けられており、これは現在開発中の量子センサーとの互換性を持たせられている。
本機の操作は基本的に非侵襲型の神経接続デバイスが用いられている。
神経接続には機体の姿勢制御や射撃管制だけではなく、エキゾチック物質制御にも用いることができ、パイロットは訓練を通して感覚拡張を行い、『空を飛ぶことをイメージ』するように飛行を制御することができる。
コクピットは頭部が1.5メートル後退し、40度上を向いたときに露になるハッチから搭乗し、ブラックオウル戦闘機のそれを改造したものが設置されている。コクピットシートの背面に固定式、頭上に可動式の神経センサがあり、これによりパイロットが機体と神経接続を行う。(追記:今後、兵装のコントロールや管制、機体モニタリングのために複座化を予定)
視界はブラックオウル戦闘機と同じ、ヘルメットのHMDに投影するかコクピット内側のモニタに投影するかを選択できる予定であり、周辺技術に関しては現在運用中のブラックオウル戦闘機からの流用を多用する予定。
神経接続デバイスの開発が滞っており、一時的に幻術を応用した神経接続デバイスが設置されている。このため、テストパイロットは術式制御に特化した『霊服』の着用が現時点では望ましい。
専用の『霊服』としての機能を持たせたパイロットスーツの計画も上がっているが、現時点では未定。
実用化された量産機では、魔術非使用の神経接続機能パイロットスーツを使用する予定。
本機は試験機であるため固定の武装は搭載されない予定。
腕部マニピュレーターには武器使用試験のために武装を搭載する計画であり、両腕にはエキゾチック物質にジェネレータからの量子的運動エネルギーを直接伝播させるエネルギーラインが『血管』として引かれており、両掌につながっている。これを武装のグリップ部のコネクタと接続、固定することにより武装にエネルギーを直接供給し、武装を作動させる設計となっている。
本機の試験では、この伝達システムの試験も並行して行う予定。
武装は現時点では試験用のものを既存の兵装を改造して搭載する予定で、現在
〇二連装GAU-8(米軍機からの流用)
〇BCW-03XERG"Ascalon"電磁投射砲(ブラックオウル戦闘機からの流用。加速レールの延長)
〇BCW-23XNFL"Etna"Z-pinch熱核レーザーライフル(同固定式レーザー砲の流用)
が試験的に突貫で制作中である。
(追記:重粒子線ビーム発射機に関しては、携行化が難航中)
>>>機体の制御システムに関しては、高機密性情報のために本レポートでは記載は行わないものとする。
>>>これに関する情報は、セキュリティクリアランスを備えた場においてのみ、伝達されるものとする。
>File End.




