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第4幕 現状確認につきシリアスは受け付けません

作風を変えました。

申し訳ございません。


さぁ、これくらいで茶番は終わらせようか。


あんな堕落していくシリアス展開悪役令嬢ものになるほど私は馬鹿じゃない。


だいたい、あんなどうどうと『リセット』と言っていたんだ。

こうなる事は分かっていた。


まず私は、前と違うことが一つだけあることに気づいた。


それは、私に障害がある事。


と言っても、それは小さいものだ。左足の中指と薬指が動かない、と言うもの。


まぁ、ここまでくるとこれが救いにさえ思えてくるものだ。

大抵同じように動くのがポリシーな世界らしいものだから。


それに、私はその場に溶け込むことが結構得意な方で、と言うかすごい得意で、いつの間にか溶け込んでいた。

この不可思議な世界に。

と言うか、こうなる事は事前に知っていた。転生なんて非現実的なことが起こったのだから、調べるなんて当然だ。


ここで焦ったら予定通りとちって悪役になってしまい、それでは当初の予定が狂う。

はっきり言って私は人生の最期に『ヒロインになりたい』なんて言う狂った願望を思い浮かべるほど簡潔的に言うと狂っている側の人間だ。


そう言う人間に限って、大体は冷静にこの状況を読み取ることができる。

まぁ、狂いきっている人間とは言えないので、完璧に冷静とは言い切れないが。


少し話がずれたが、私が『ヒロインになりたい』なんて狂った遺言らしきものを言ったり、『悪役になりたくない』なんて言う、ウェブ上の小説サイトで流行った悪役令嬢物の主人公の如く『平凡な人生を送りたい』的なよく考えれば自分愛しすぎている自分守りたい系ナルシスト的な自分語りをしたのにはしっかりとした理由がある。


まず私は、自分が高熱で死んでしまう未来を知っていた。

あんな悲劇のヒロインのような語り口をしていて悪いが、もともとあれは私の余命だったのだ。


と言うかまず、私にはあの後まだ自分がそのまま生きている未来が思い描けない。

そう。あれは自殺である。


人間が死ぬことができる程度の熱を発症させる毒物を飲んで、自殺をした。

だが、私はなぜかこうやって友人がやっていた乙女ゲームの悪役令嬢となり記憶を持ちながらの転生を果たした。


『え?ローズ?お父さんと思われる横の男の人は、確かに、自分のことをローズといった。』とか、『つぅか、乙女ゲームとか苦手なんだよね………基本好きなの格闘ゲームで、大学では乙女として死んでるとか言われてたし。と言うか、今でもムカつく………。ま、関わんないようにやれば良いか。現実味ないけど。』とか、『それに、このローズって、最悪処刑………』とか。


こんなありがちそうなセリフを言ってごまかしていたが、実際のところ事実は『まじか自殺したはずなのに』で産声をあげ、『そう言えばこんなゲームあったかな』で現実逃避をし、『え?処刑?え?でも学生?待てないっすけど』で、歪な笑みを浮かべただけである。


大体、処刑で今更恐れとか何ちゃらない。

むしろ、今では死ぬときほど安らかで心地いい時間はないと考えているし、むしろ思い残しとかない。何なら自殺前から生きがいもなく大筋平凡な人生を送ってきたし、今世の親は親バカ気味だが、正直言って私は前の両親が全てなので、罪悪感も何も合わせ持っていない。


それなのに、何故『悪役になりたくない』なんて思っていたかって?

簡単だろう。リスクが高いからだ。


もちろん、私は早く死にたい。だが、悪役の死に方は周囲に迷惑、インパクトが大きくなりすぎる。

前世での自殺だって、やっとこさで他人との縁を切り、あまり気づかれない場所に住んで自殺したのだ。

せっかくなのにそんな死に方したくない。

簡単にいやあ、目立たないで死にたい。


そしてもう一つ。

今世の私は、能力が高すぎる。


さっき友人のようなものになってしまっていた王太子の彼が言う通り、私は特殊な能力者的な存在らしい。

あんな反応をしていたが、実は前から知っていた。


と言うか、自分が変な能力持っていたら、普通調べようとも思うし、他人に簡単には口にしない。

はっきり言って、今回の両親はまだ私の中では他人レベルのもので、そこはやはり相談していなかった。


専属メイドのエラにも、『少し強い』くらいの認識はもたれているが、そこまですごい能力者だとは思われていない。

大体、この世界が『異世界』だと言う認識は読者の皆様にも伝えているが、魔法が使えるとは伝えていない。


なので、ここは私たちが住んでる地球などがある空間とは異なる場所ではあるが、大抵の常識は同じである。

私は、地球で言う、『超能力者』みたいな存在だとでも考えてくれたら良い。

同じようなものだ。


また、王太子は全てを知っているような体を持っていたが、あれも間違いだ。

この『祝福の乙女』と何だかクサい名前の能力は、決して動物と会話するだけの能力を持っている訳ではない。

と言うか、そんな能力だけだったら、この世界を保つ存在となることは確実に不可能と言って良いだろう。


何故なら、この世界はもう崩れかけているからだ。


たくさんの世界があると、崩れかけの世界というのも当然あり、その一つがこの世界だ。

そこでこの世界の主は、一人の人間が超能力者になってこの世界を保つというシステムを作った。


でも、これもなったものは面白くない結果となる。

こんな大きい能力をたった一人の人間の魂に詰め込むのは無理がある。


それが、今回私がループしたり、小さな障害を負った理由だ。

この能力者には、『リセットと言えば全てがもう一回やり直される』という制限と、それについてくる副作用として、『生贄として体の一部の機能を世界の主に渡す』という制限だ。


これは一見、じゃあリセットなんて言わなければ良いじゃないかと思われるが、それは無理だ。世界の主が力を蓄えて私の力をアップグレードさせるには、『リセット』しか方法がない。


よって、世界の主が強制的に私たちに『リセット』と言わせてくる可能性もあり、『言わなければ良い』なんて効かないのだ。

また、そのとき、私たちの人格は強制的に乗っ取られるので、記憶はない。なので、日々能力はアップグレードしている。いつのまにかなんども繰り返されているらしい。

私本人には、例の『〈その願い、叶えましょう〉』という声しか聞こえない。

いや、私願ってないし。


そして、最初に言った話に戻ろう。

このように、私の能力は高い。また、これにより、私は処刑によって死ぬことができない。


何故かと言うと、他人の害意によって殺されると、新しい能力者を作成することができなくなり、世界の主がそのままループを繰り返させる。

これはもう生き地獄といってもよく、そのためもしもの場合のために、悪役令嬢となることは許されないのだ。

無理難題な役位置である。


と言う意味で、私は悪役令嬢を回避すると言う、先ほども言ったウェブ上の小説サイトで流行った悪役令嬢物の主人公の如くなことを行なっていたのだが、今回、そこで問題が起こった。


殿下が私の能力に気づき、婚約を持ちかけてきたのだ。

ここで私は初めて、自分の意思で『リセット』を行なった。

完全に想定外の出来事だったのだ。仕方がない。

これはやり直せざる負えない。それに、あれが原因でバタフライエフェクト的なものが起きたらたまったもんじゃない。そのせいで変な未来になったら大変だ。


そう。そしてと言う訳で今、私は例の前回王太子と出会った日にいる。

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