第2幕 人間不信につき友達にはなれません[前編]
エラと庭に出た。
庭には、きれいな噴水や、美しい花々たちが、きらきらと輝いている。
もう慣れたが、最初はさすが公爵家だと思った。
「じゃ、行ってくるね。」
「え、お嬢様、また森へ?まあ、お嬢様は、強いからあまり心配はなくなってきましたが………あぁ、行っちゃいました。と言うか、これを許してるこのお屋敷可笑しすぎますよ。」
聞こえないふりをして、藪の中に入った。
***
「はい。順番だから。」
私は、動物に、餌を与えていた。
なんかいつの間にか懐いていたからだ。
だから、やぶの影に自分と同じくらいの年の男の子がいるとは、気付かなかったのだと思う。
いつもはこんなしくじりしない。
「…すごい。」
「………。」
まじか。
あ、一応びっくりしてるから。声にあまり反映されないだけだ。肩は跳ねた。
そこには、明らかに貴族か何かと思える、美しい黒色の髪に、黄色い瞳をした、今の私と同い年くらいの男の子がいた。
(でも、さすがに王族はここに来ない。)
「あの…どちら様でございましょうか。」
と聞いた。
このお嬢様言葉めちゃくちゃ特訓した。
「本名は言えないよ。友人から呼ばれてるあだ名は、ロア。」
え、いやなにこいつ勝手に自己紹介始めたんだが。
というか本名言えないのかよ。
「ロア、様……えっと…。」
不審すぎるロアと名乗った奴はくすりと笑うと、
「知ってる。ここのお嬢さんのローズ嬢でしょう。」
え、いやそういう意味じゃない。
だが、今の言葉、確実におかしい。
私はまだ表に出てないからな。
「君の父親の親バカっぷりで、特徴覚えちゃったから。」
なるほど。父か。
何してくれてるんだ。というか何故子供が父の親バカ話を聞いている。
あとお前誰か教えろ。
と言うか、父よ、何でこんな不審な人物に私のこと勝手に教えてしまっているんだ。
しかも、子供だぞ?子供。
こんな小さいやつに迷惑かけて、もはや大人らしさゼロじゃないか。
と言うか初めて出会った人間にもそのまま笑顔を変えずに対応するとは。
今私は、こいつの偽善者スマイルしか見ることができていない。
なるほど。こいつ、腹黒か。
面白い!
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