第1幕 失敗転生につき戸惑いがつきません。
忙しくて抜ける日が多いと思いますが、できる限り頑張りますので、温かい目でお見守りください。
日本の大学で、真面目に平凡な生活を生きている。
いや、生きていた。
何故過去形だって?それは、今から3年前、他の人間と比べ、あり得なく、非現実的な事が私の身に起こったからだ。
転生。
ある意味すべての生物が憧れるものであり、すべての生物が憧れないものでもある。
しかも今回、私はよりにもよって最悪なものに転生した。
なぜ最悪だって?では、少し前ににさかのぼろうか。
***
「王太子殿下まじ好みだわー。」
「またゲームのこと?」
この人は友人。
乙女ゲーオタクだ。いつも隣でゲームのことを喋っていたので、この乙女ゲームについては、なんだか強制的に内容を把握してしまった。
「うんー。あ、ローズだ。この子、毎回邪魔してきてもうやだ。断罪シーンめっちゃ楽しみになるくらい。もうこの子のせいで何回サイコパスになりかけたことか。美人で結構外見好みなんだけどね。公爵令嬢だし。あー殺したい。」
「………。」
もうかなりサイコパスになっていると思う。
というかなぜその事実に気付かない。いや、気付いてて無視しているのか?
だが、この感じだと本気で気づいていない可能性の方が大きいか………。
「あー、でもやっぱ王太子殿下かっこいいわ。現実にもこんな奴いないかなー。」
いるわけない2次元だぞと思いながら、苦笑を返すと、「あ、笑った!」と言われた。いや、これで笑ったというのか?苦笑だぞ?
………これが、転生前のちょっとした出来事。
それから、約半月後。
私は、40度を超える熱で、苦しんでいた。
それは、今まで味わったことのない痺れ、暑さ、寒さ、疲労。
(ああ。私、死ぬんだ。)
そう思った。
そして、無謀にもこんなことを考えた。熱で頭が可笑しくなっていたのかもしれない。
(次、もし生まれ変われるのなら、友人がよく言っている乙女ゲームのヒロインにでもなりたいものだ。)
<その願い、叶えましょう。>
これが、わたしの、この人生での最後の思考だった。
***
「おぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!」
え?
周囲に、ふいと赤子の声が響いた。
その発生源は………私。
(わ、私…死ん、だよね?)
そう考えている内に、隣で、まだ若い男性の声がした。
「おお。女の子か。じゃあ、ローズとなずけよう。」
え?ローズ?お父さんと思われる横の男の人は、確かに、自分のことをローズといった。
チラリとすぐそこにある、鏡を見てみると、流れるような美しいけれども渋めの青髪に(生まれたてなのになぜ)、宝石のような、きらきらした深い深海の色をした瞳(え?もうこんな目ぱっちり?)を付けた、美しい赤子がいた。
(え?いつも友達がやってた乙女ゲームの悪役令嬢だよな、これ。)
それに、このローズって、最悪処刑………なんてことまで思い出して、もう目が死んだ。
ちょっと酷かぁないだろうか。
私は確か「ヒロイン」って言った筈なんだが。
ヤベェじゃん。
つぅか、乙女ゲームとか苦手なんだよね………基本好きなの格闘ゲームで、大学では女として死んでるとか言われてたし。と言うか、今でもムカつく………。
ま、関わんないようにやれば良いか。現実味ないけど。
苦々しく顔が歪んだら、「笑った!」と、大人たちが喜んでいる。どんな感性してんだろ。
というか私の周り苦笑が笑顔だと勘違いしすぎだ。わたし、そういう顔のつくりか?
あ、転生したんだったか。じゃあ何故………。
***
そして、今。
私は、外を見ながら警戒を行っている。
なぜかというと、今日、王太子殿下が、屋敷に遊びに来ているからだった。
(女王陛下と、お忍びのような形で来たみたいだが、もしかすると関わり合いになるかもしれない。画面自体も見てないし、殿下の姿が分からないからな。ちょっとどうなるか分からない。文字はこうなんだと、無理に学ばされたけど、登場人物も姿確認しといたらよかったな。これだと気付かずに交流してしまう可能性もある。まったく面倒くさい。)
「はぁ。こんなことしててもなんかつまんないな。出るか。」
私の専属メイドらしいエラに声を掛けると、そのまま庭に直行した。
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