プロローグ
一度間違えて、下書段階のものを掲載してしまいました。
大変申し訳ありませんでした。
早く「小説家になろう」に慣れるよう、頑張ります。
初夏の昼下がり、キルシュトルテ国の王都ツッカーシュタッドにある王宮の一室で、私ハーフェルナ・フォン・シュヴァルツヴェルダー10歳は、キルシュトルテ国の第二王子、ルドルフ・プリンツォ・キルシュトルテ殿下10歳と、二人だけのお茶会をしている。
キルシュトルテ国は割と北方に位置する国で、国土の4割を深い森が占める。
大体4月から6月初旬頃が春、6月中旬から8月いっぱいまでが夏、9月と10月が秋、11月から3月下旬までが冬といった感じで冬が長く、-20℃になる日もある。
年間を通して涼しめで、雨がよく降るこの国だが、温かい海流と海からの風のお陰で、国の中央から北の海側は豊かな穀倉地帯や牧草地帯が広がり、食料事情は良い。
南にある山脈は、キルシュトルテ国の国境の国境に沿って、南側3分の1くらいを囲むように連なっている。この山脈からの雪解け水のお陰で、大きな河も何本かあり、何度かの運河工事を経て、国民の生活はより便利になった。そして山脈のある国の南方には、豊かな森が広がり、大きな湖と温泉がある。その温泉や美しい景色を目当てに、観光に来る国外の者も多い。
この山脈と河が天然の要害の役目を果たすこともあって、キルシュトルテ国は軍事国家としても強国だった。
幾度もの戦争を経て、有事の際は例え王侯貴族でも男性は剣を取るのが慣わしになっているため、女性でも爵位を継いだり、叙爵されたりするのが当たり前になっている。
豊かな国力から学問や技術も進み、それらを維持するために教育も進んだ。特に2代前の女王が子供の福祉に力を入れたこともあって、今は貴族だけでなく、平民も皆学校へ通っている。
女王の意思を引き継いだ前国王は、医学や薬学の研究に力を入れ、都市部を中心に国の衛生状態を向上させた。
その甲斐あって、現国王の時代になった今、王都ツッカーシュタッドは整然とした美しさと、古き良き街並みが共存する、名の知れた都になった。
さて、その現国王アーデルベルト・ザクセン・カイツォ・キルシュトルテと王妃フレイヤ・マンデブルカ・カイツェ・キルシュトルテには、3人の子供がいる。
病弱だが心優しいと言われる第一王子、ベルトホルト・プリンツォ・キルシュトルテ、11歳。
聡明で物静かな第二王子、ルドルフ・プリンツォ・キルシュトルテ、10歳。
花の妖精のような愛らしさが評判の第一王女、ミーナ・プリンツェ・キルシュトルテ、8歳。
全員が王族特有の色素の薄い髪と瞳を持ち、容姿端麗で、王子二人は婚約者の決定が望まれていた。
キルシュトルテ国の王族や有力貴族は、大体10歳から12歳の間に婚約者を決める。
昔はもっと幼いうちに決めたらしいが、国民全体の寿命が長くなったことと、12歳になった貴族が専用の教育機関『中央学院』へ進むことが慣習化すると、今のような形になった。
また、政略結婚で結びついてきた王家自体が、代々非常に夫婦仲が良いので、王家のような温かい家族に憧れた貴族は、子供であっても本人の気持ちを確認してから婚約を取り決めるようになった。どれくらいその気持ちを優先するか、個人差はあったが。
そんな訳で、私が10歳になって領地から王都の別邸へ移ると、婚約の話が持ち込まれ始めた。
我がシュヴァルツヴェルダー公爵家は、それはそれは由緒正しい名門貴族で、地位も名誉も権力もお金も持っている。
だから実はかなり前から、第二王子ルドルフ殿下との婚約の話があった。けれど、他の領地を持つ貴族と同じように、10歳になるまで父の領地で過ごしてきた私は、建国パーティーくらいでしかルドルフ殿下に会ったことがなかったため、他の貴族からの婚約話と同じように、ルドルフ殿下との婚約話も全く進んでいなかった。
が、それはここに来て急展開を見せている。
2/3 誤字を修正しました。