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気付けば誰かがそばにいた  作者: うみぶど子
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プロローグ 旅商人の手記

 『世界』は三つに分けることができる。

 これがこの世界での常識であると、ここに明記しておこう。


 一つ。空を支配する者たちが住まう「天界」。

 一つ。地下を、冥府すらも支配する者たちの住む「魔界」。

 一つ。地上で様々な興亡を繰り広げている「地上界」。


 我々人間族がすむのは、この地上界のさらに限定された場所である。ここでは人間族の他にも「魔族」と呼ばれる者たちが暮らしている。興亡が一番激しいとされ、住んでいる種族が多いのもまた地上界である。

 小さな、とても小さな世界の片隅で、人間族は存在しているのだ。


 ところで、(みな)は人間族と魔族は仲が悪いと思っているのだろうか。きっと大部分の者はこの言葉に肯定するであろう。

 しかし、それは違うのだと主張できる文献を、俺はようやく見つける事ができた。とある王国から見つけたそれには、地上界に人間族と魔族が住みだした最初は互いに協力しあっていたと書かれている。

 地下からの逃亡、天からの追放で辿り着いたこの地には、彼らのほかにまだ敵が存在していなかったのだ。


 そうして住み始めた彼らと我々は、ある時偶然にも出会い、交流を重ねた。

 ……今となっては信じられない光景になってしまったが。


 だが、ある時を境に交流が絶え、いつしか戦乱の世の中へと発展してしまっている。このあたりについての詳しい表記が無いため、俺はとても残念に思う。


 しかし収穫はあった。彼らと我々は争うことのない時代があったと。

 そして、それを「観察」し続けている天界と魔界の存在も。


 そのあたりの考察について、俺は詳しく手記に残していこうと思う。この世界の対立と、監視を続ける――いや、本当は今にも手を出してきそうな、天界と魔界への警戒のためにも。



   ――【旅商人、サム・パー・イストの手記の一部】


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