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ブリザード苛烈版  作者: 波似ゆう
第一章 雨のち吹雪
2/5

死に際の魔術師

死に際に魔術師は言った

おまえにもわかる時が来ると

だけど俺はそんな時など来なくてもいいし

むしろ時なんてものは

いっそ止まってくれたほうが嬉しかった

そうしたら彼女も

死なずに済んだのに


ばかだね

と声がした

するはずは無かった

幻か

あるいはそれが彼女の

最後の魔法だったのかもしれない

まあ何にしても同じことだ

ああもう

だから

煙草はやめろと言ったのに


ああ

ちくしょう

よりによって

こんな雨の夜に


もう戻れない

時なんてものは

本当に

止まっていた方が遥かにましだった






凪守夕夜

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