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ブリザード苛烈版  作者: 波似ゆう
第一章 雨のち吹雪
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たまっていた雨が降りはじめた

たまっていた雨が降りはじめた

これは長くなるだろうなと

あたしは思った


ウィスキーの氷が溶けて

ぬるくなったグラスを

飲み干すことができずに

頭痛と戦っていた


たまっていた雨が降りはじめた

あとはただ待つしかない

たくさんの人々が

濡れて寒がるだろう

たくさんの葉が

震えて泣いたのち

この雨はあがるだろう

たくさんの爪痕を残して


たぶんあの人は

こんな夜にこそ

ここにいるべきだったのであって


あんな甘やかな夕焼けに

乾杯などしている場合ではなかった


そんな筋違いを

すべて正すため


たまっていた雨が降りはじめた

あとはただ待つしかない

願わくばあの人が

この雨に倒れてしまわないように





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