表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
145/163

聖剣か星剣か

 かつて勇者の剣を鍛えたドワーフの血を引くガーネットが、この世界に再び剣を甦らせたのは、仕事を始めてから七日目のことだった。


 名工の手で磨き上げられた二振りの一方は、聖白金セイクリスティニウムによる純白の意匠が施されている。


 まるで光を体現したかのような、眩しくすら思えるその名は――聖剣メサイア


 そして、黒を基調とした隕石鋼メテオニウムによる意匠が施された剣は、光と対をなす影のようだ。黒き夜空にきらめく刀身を持つ――星剣ネメシス


 双子の兄弟ともいえる剣は、意匠の素材の比重が違うことを感じさせなかった。


 添えられた鞘の色も純白と漆黒で対照的だ。


 時刻は黄昏時。昼と夜の境目に生まれた聖剣と星剣は、工房の作業台の上に静かにたたずんでいる。


 目の下にクマをつくって、髪の毛をボサボサにしながらガーネットが俺とナビに告げた。


「アタイの生涯最高の傑作だよ。今日までつちかってきた技術の全部を叩き込んでやったさね。おかげでもうフラフラなんだ。本当は完成記念に飲み行きたいとこだけど、先に仮眠させてもらうよ」


「ありがとうガーネット」


 俺が手を差し出すと、彼女はそっと握り返した。いつもならギュッと力を込めてくるのに、それすらできないほど憔悴している。


 ナビが「回復魔法かけようか?」とガーネットに言うが、この手の披露と消耗は、魔法でどうこうできるものではない。


 ガーネットが消費したのは、恐らく魂の力だ。職人の魂を癒やす魔法は、恐らく充分な休息しかないのだろう。


 ガーネットはそっと手を離す。


「なんでか、アンタとはずっとずーっと一緒に仕事をしてたような気がするよゼロ。良い助手になれるんじゃないかい?」


「世界一の名工のお褒めにあずかり光栄だな」


「お世辞なんかじゃないって。お代はアタイの満足とヘパイオの種火で充分さね。どっちの剣を誰が使うかは、二人に任せるとして……ふあーぁ……剣だけじゃ困るだろ? アタイも一緒に行くから。ちょうど明日は新月明けだし、海底鉱床で素材集めして、鎧や盾なんかも揃えて……アンタら二人と一緒なら、魔物も怖くないしね。そいじゃ……お休みぃ」


 ねむそうに目をこすりながら、ガーネットは工房アトリエから出る。


 ナビが手を振った。


「お休みガーネット。また明日ね!」


 ガーネットは「ほやふひぃ」と、あくび混じりに返しながら、寝室のある二階へと上がっていった。


 さてと――


「ねえゼロ! 次は海底鉱床ってところを冒険できるみたいだね! ガーネットはボクらの仲間になってくれるのかな?」


 瞳をキラキラさせるナビに俺は首を左右に振った。


「いや、今夜……つ」


「え? もうどこかへ出発するの」


 偶然にしては出来すぎているが……今夜は新月だった。


 もしこの期を逃せば、あと一ヶ月は“真理に通じる門”に挑戦できない。


 その間に、ガーネットが仲間になってしまうのは避けたかった。


 俺はナビに告げる。


「海底鉱床ってのがどういう場所か、俺たちだけで予習しよう。最強の剣もあるし、無茶しない程度に探索だ」


「そうだね! ボク、わくわくしてきたよ。ところでゼロはどっちの剣を使うんだい?」


 ガーネットが言うには、装飾や意匠が違うだけで性能は同等だ。


 特に意識していなかったが、自然と右手が純白の聖剣メサイアを手にしていた。


「じゃあボクはこっちの黒い剣にするね。ふっふっふ。我が暗黒剣の餌食となれぇ!」


 ナビは星剣ネメシスを手にしてノリノリで剣を構える。なにやら変な病気が発症したようだ。


 ナビほどではないが、俺も手に吸い付くようにしっくりと馴染む聖剣の手応えに、力が溢れるのを感じた。




名前:ゼロ

種族:獣人族 シヴァ種 武神

レベル:99


力:A(99)

知性:A(98)

信仰心:A(98)

敏捷性:A(99)

魅力:G(1)

運:G(1)


白魔法:中級回復魔法ハイヒーリング 中程度の傷を癒やし、体力を回復する

中級治癒魔法ハイキュア 猛毒などの強力な状態異常を治療する

   操眠魔法スリプコン 対象を眠らせる&眠っている対象を目覚めさせる

   精神浄化魔法マインドクリア 混乱状態やパニックになった精神を鎮める

   火力支援パワゲイン 腕力を強化して武器による攻撃力を上げる

   肉体硬化ストスキン 肉体を硬化させ防御力を上げる

   氷炎防壁サマルシド 炎と氷から身を守る

   即死魔法ブラックウインド 対象の命の灯火を消し去る

   蘇生魔法リヴァイブ 失われた命を取り戻す奇跡の力


黒魔法:初級炎撃魔法ファイアボルト 初級氷撃魔法アイスボルト 初級雷撃魔法サンダーボルト

   中級炎撃魔法ファイアストーム 中級氷撃魔法アイスストーム 中級雷撃魔法サンダーストーム

   上級炎撃魔法ファイアノヴァ 上級氷撃魔法アイスクリスタ 上級雷撃魔法サンダーフレア

   超級雷撃魔法インドラ


   脱力魔法ディスパワン 対象の力を下げ攻撃と物理防御を弱める

   鈍重魔法ディスアグレ 対象の敏捷性を下げ速度や命中率を落とす

   魔法障壁マジルシド 敵意ある魔法による攻撃を防ぐ盾

   呪封魔法ディスペルド 魔法を打ち消し封じる魔法殺しの術




装備:聖剣メサイア




流派:天星流免許皆伝

   女傑クインドナ流格闘術 猫の構え

修行:武芸百般 ありとあらゆる武技に精通する

  :天星流免許皆伝 最終奥義取得――天流星舞メビウス 森羅万象救いし勇者の剣技


学習成果:黒魔法の最適化 学習進度によって魔法力の効率的な運用が可能となる。


師匠:チューラ(天星流)

弟弟子:ナビ(天星流)




――隠しステータス――



特殊能力:魂の記憶 力を引き継ぎ積み重ねる選ばれし者の能力

    :無限色彩アンリミテッド 左右両手で別の魔法を繰り出す能力 白魔法と黒魔法の純粋な力を合成可能


種族特典:エルフの目 魔法によって隠されたものを見つけ出す探求の眼差し

    :雄々しきオークの超回復力 休憩中の回復力がアップし、通常の毒と麻痺を無効化。猛毒など治療が必要な状態異常も自然回復するようになる。ただし、そのたくましさが災いして、一部の種族の異性から激しく嫌悪される

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ