昼飯
「まあ、『才能』って残酷なものだな。俺みたいな一部の者にしか与えられない。
こればっかりは諦めて別にできることを考えろや。時間は有限だからな。」
もっともらしい事をほざいて、
「俺は仕事あるから帰るわ。」
そう言って師匠は鼻をヒクヒクさせながら帰っていった。
(あれは絶対得意になってるな~。俺が似たような魔法?を使える様になっていたと知ったらびっくりするだろうな。。。
案外『俺の指導が凄いせいだ』と言いかねないか。)
取り敢えず、前世でやっていた訓練を思い出しながら身体を動かし汗をかくことにした。
しばらくして、情けない音が響いた。
『ぐう~』
ふと見ると俺の横で、ブンブン飛んでいた奴の姿がない。
地面に目を向けると見慣れた物体が。。。
(ん?目を回している。)
もしかして、もう昼ってオチ?
※※※※※※
オチだった。
途中で切り上げ『オークのしっぽ』に向かい早い昼食を食うことにした。
「べネットさん、お昼を頂けませんか?」
「おや、カイト。あの『ぐうたら』は?」
「俺に魔法の素養がないと分かったとたん、帰りましたよ?仕事だとか。。」
「『エレン様』に託されたのに、おっぽっといて何を考えているんだか。。。」
「まあまあまあ。素質は本当になさそうですし。他に手を考えます。」
「あたしゃ、『セラちゃん』にもあんたにも、不幸になって欲しくないからね。あのバカやって来たら少し絞めておく。」と腕捲りした。
(べネットさん最強っす。)
「ところで昼飯だって?生憎まだ、仕込みの段階だ。パンと昨日の残りのシチューなら出せるけど?
それか待つかだね。」
(ブタ妖精限度っぽいな。普通の食事でマナを取るようにさせた方が良いし。)
「シチューでお願いします。小皿を一つ貰えると助かります。」
「ん?あんた猫舌だったっけ?。まあ、やけどしないよう気をつけな。」
(冷ますのに使うと思われたか。まっいいか。)
俺のスープ皿から一部取り分け、『エル』に『飯だ。』といった。
「力がでない。。。お兄さん、『アーン』」
「殴らなくったって良いじゃないか。
お兄さん妖精の扱い雑だよ、妖精の人権侵害だ。。。」
(しったこっちゃない。放って行う。)
食べることに専念した。
暫くすると静かになったので様子をそっと見ると、口一杯にシチューをほうばり、ほっぺたが膨らんでいる。
(『リス』みたいなやっちゃな。)
「どうだい?1日寝せたシチューも旨いもんだろ」
「絶品です。」
「ん、んん、んん」
何かブタ妖精も騒いでいる。こいつも味分かるんだな~。
えっ?白目剥いているよーな。
水、水、水~
あわてて水を与えると、息を吹きかえした。
「いやー死ぬかと思ったよ。お兄さんありがとう。」
(ふう。こいつはやっぱりこいつだな。)
「そうそう、牛脂の用意出来ているよ。
それから隣の家の「メナ」があんたの洋服作ってくれるってさ。食べ終わったら行ってきたらどうだい?」
「そうします。」
礼を言って牛脂をもらった。