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『カオティク✖ルナティック』  作者: ことわり
10/33

蚊対俺

蚊??


(さて、どうするか?まずなんで倒れたかだよな。)


「おいっ、聞こえているか?」



「どこからか声が聞こえる。なくなったお母さま?」



「な訳ないだろ、しっかりしろ」

思わず突っ込みを入れてしまった。

(っていうか、妖精も死ぬんだ。)


「はっ、私を拉致した上、名前を奪ったさっきのヒューモ。」




「やっぱりおいていく。」




「しかも極悪ひどう」




「じゃ、そういう訳で。。。」



「あたしを捨てていくのね。」



「なんでそうなる。そもそも今日会ったばかりだし。俺を殺そうとしたし。」



「ぎくっ。細けえな、男のくせに。。。」

(心の声駄々漏れだな。。。関わらないほーが良さそうだ。)



スタスタスタ



「ねぇ待ってよ~。『か弱い』しかも契約した妖精を放置していくの?祟ってやるから。」


(祟るって、嫌な響きだな。そもそも契約なんてしてないぞ。)


「契約なら、さっきしたじゃない。私の真名を訊ねて、呼んだじゃない。」



「えっ、あっ、じゃあキャンセルで」



「んなこと出来る訳ないじゃん。あたしの純情返せ~。今すぐ返せ~。」



(えっ、いつそんな関係に?)



「私のハートはギューグルグルと締め付けられるようにいたいの。私のハート奪った責任取りなさいよね」


(って、そもそもそこ胸じゃなく腹だし。完全無敵な電波系?だな)



「ぐう」

音がなる。



「ほら、胸の高鳴りが、、、」




「もしかして、腹減ってるだけじゃないか?」



そしてまた、こいつはぶっ倒れた。


※※※※※※

それから数刻後、俺の肩の上を指定席と決めたらしい、デブの妖精が耳元で騒いでいた。


「デブって言うな、デブって。せめて成長期って言いなさいよね。『成長期』分かった。」


(そもそも口に出してないし。)

さっきから不思議に思ったが、どうやら俺とこいつはテレパシーでつながっているらしい。


(お互いの考えが駄々漏れって何か嫌だな。。しかも位置まで分かるらしい。

はあ。。。)



結局のところ、この妖精は単に『腹が減って』ぶっ倒れただけらしい。


なんでも今まで食事を取ると言った行為をした事がないとか。


聞いた話を総合すると

どうやら妖精という種族は、普段彼らの住んでいる世界(妖精界)から直接マナを取りこんでいるようだ。


ただこいつ(エル)に限って言えば、俺に『見られたこと』で、彼らの世界から切り離され、この世界(物質世界)に定着してしまった。

その結果、食事を取らなきゃならなくなったみたいだ。


(俺のせいもちょっと?いや、多々あるのか。)


「お兄さんやっと理解したみたいだね。僕のマスターとしては『にぶちん』だな~。

もっと頭を使った方がいいんじゃないかな。」


(ほっとけ)


「とにかく、ちゃんと責任とってくれれば良いから。。」


そう言いつつ俺の頭に止まり

「ちゅる」っと何か吸った。



「意外とお兄さんのこれ美味しいね。」



えっ、えっ、何か吸われた?

(こいつ、もしかして、蚊みたいに生き物からマナを吸い取るのか)


「失礼な、どの生物からもマナをとるなんて無節操なことしないよ。

お兄さんのマナしか吸う訳ないじゃん。

お兄さんは僕の契約者として自覚持った方が良いよ。」


「ちゅるちゅるちゅる、ずっずっず

美味しいね~」という歌声が聞こえる。

微妙に上手いだけにむかついた。

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