“悪魔王”VS“神霊王”
八十五話目です。
始めは、神との会話で書かなかった部分を
「“悪魔王”が復活しそうなんじゃ。」
「“悪魔王”?」
「うむ。」
「で? そいつはいったいなんなんだ?」
“悪魔王”なんて、聞いた事も無いので尋ねてみる。
「まずは、昔の話からじゃ。」
「そうそう。この世界に最初の“魔王”が生まれた話ね。」
「最初の“魔王”?」
「うむ。そやつは強かったが、恵まれてはいなかった。それで、欲しがったのじゃ、人の温かさをな。」
「その過程でナニかがあって、【憑依】をもった悪魔にとり憑かれたの。」
「そして、生まれたのが【強欲】の魔王じゃ。」
「歴代最強と言われていたけど、複数の神の加護をもつ“初代勇者”と、その仲間達には敵わなかった。」
「じゃが、魔族の肉体を失っても、まだ悪魔の肉体があったのじゃ。」
「そしてそして、“悪魔王”が出来た。最終的には“初代勇者”がその身を犠牲にして封印したの。」
「じゃが、それが解けかかっておっての。魔族の男がとり憑かれたのじゃ。」
「“悪魔王”はそのまま力をつけた。そして、封印を自力で解こうとしている。」
「今回の勇者では敵わないのじゃ。じゃから、神に匹敵するお主に封印を…………あわよくば倒してもらえんか?」
事情は分かったが、そんな事俺に頼まず。
「神々でなんとかすればいいんじゃないか?」
「残念じゃが、わしらは直接世界に干渉できんのじゃ、どんなに位が高くともな。」
「間接的、こうやって、人の夢の中に出たり。神託を伝えたりは出来るんだけどね~。」
成る程これはこの世界のためにもやったほうがよさそうだ。
「まぁ、と、言うわけじゃ。」
◇
「【ダーク・ランス】」
「〔雷神の槍〕」
【ダーク・ランス】と呼ぶにはあまりにも禍々しい大槍と、雷の大槍がぶつかり消える。
「【輝拳:極光】」
「【ダーク・シールド】」
光輝く拳の一撃を、闇の盾が受け止める。
「【ダーク・ランス】」
動きの止まったレイに、闇の大槍が突き刺さる。しかし、槍が刺さったレイは幻のように消える。
「?」
「“歩法”【朧】 “奥義三式”【龍ノ息吹】」
悪魔王の後方に突然姿を現したレイが、両の手を使い、全力で掌打を叩き込む。
「ぐっ! 今のは効きましたよ。」
「まだまだぁ! 〔光神の矢〕!」
「【ダーク・ランス】」
光の矢と、闇の槍がぶつかり消える。
「(霊術は、魔法で打ち消される。物理攻撃は受け止められるし、さっきみたいな騙しうちは、もう対処されるだろうな。なら、力押しだ!)」
「くらえ!【覇天龍閃撃】」
「【ダーク・シールド】」
朱金のオーラを腕に纏い拳を突き出すレイ。それを、闇の盾が一瞬止め、砕け散る。そして
「ぐほぉ!!!」
「よしっ! さすがに“奥義”は防げなかったみたいだな。」
「面倒ですね【深淵ノ宴】」
地面からいくつもの腕が出てくる。その腕は全てがレイのほうを向いていた。
「この魔法の真の使い方を教えてあげましょう。【ダーク・ランス】」
「ん? って、はぁ!?」
現れた全ての腕から闇色の大槍が、飛んでくる。
「ん、なの有かよ!〔光神の矢〕〔光神の矢〕っくそ! 間に合わん!」
“悪魔王”が放った槍を、霊術を使いいくつか打ち消したが、それでも大量の槍がレイに降り注ぐ。
「ククク。これは、さすがに効くでしょう。」
「まぁまぁ効いたよ。」
「ツ!? その割りにはあまり効いていませんね?」
「ま、ギリギリでいい事に気付けたからな、なんとか、お前の攻撃を“通り抜け”られたよ。」
「! そういえば、幽霊でしたね。」
「まぁな。【神霊衣】“黒幻”」
レイの衣装が漆黒の胴着に変わり、その胴着は黒く放電していた。
「【黒雷飛拳:滅砲】」
レイが振り抜いた腕から、黒い雷が“悪魔王”に向けて、漆黒のレーザーのような雷が放たれた。
◇
「うっく、今のは効きましたよ。」
「みたいだな。」
「本気を出すとしましょう。“脚技”【ブラッディ・スライサー】」
「【黒雷脚:回滅】」
両者の回し蹴りがぶつかり合い、両者の蹴りがぶつかった際に出たエネルギーが、周りの壁を吹き飛ばす。
「おや。随分スッキリしましたね。この城気に入ってたんですけど。」
「スッキリしたから、良いじゃないか。」
「言いますね?」
「言うぜ。」
睨み合い、相手の出方を伺う二人。そして、状況が動く
『王よ、パーティーがあるので、失礼します。』
「「え?」」
レイの漆黒の胴着から、そんな声が聞こえた。
「いや、ちょ、今世界をかけた戦闘中なんだけど。ちょっと。」
『では、失礼します。』
「え!? ちょっと待って!」
そして、レイは胴着から先程まで着ていた、簡素な服に変わる。
「「………………………。」」
「二時間ぐらい、待ってくれない?」
「駄目です。」
「デスヨネー……ぐらっぱ!」
“悪魔王”の蹴りにより、上空へと吹き飛ばされる。
「なんか、ムカついたので、次で殺します。」
そう言って、その手に禍々しいオーラを集める。
「え!? ちょ、まっ!?」
「さようなら。【カオス・エンド】」
“悪魔王”の手から放たれた。禍々しい闇の弾が、レイに当たり━━━━━
「ツ!?━━━━━━」
━━━━━爆発するしたように、広がりレイを飲み込んだ。
「ククク、最も厄介な者は死んだ。世界を征服し、神々を殺し、別の世界をも征服する。全てを我がモノとするのだ! ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ。」
「全部自分に従うなんて、つまらないと思うんだがな?」
「なっ!?」
「あばよ。」
俺は“悪魔王”に自分の右手を当て、
「【終ワリ之始マリ】」
奥義を発動させる。
「ツ!?━━━━━━━」
お、最後の最後まで抵抗したか、まぁ、精神面で俺に勝てるヤツはいないってわけだ。伊達に“神霊王”なんざ、やってない。そんな事を思っていると
━━━━━感謝する。
そんな、声が聞こえた。聞こえるかどうか分からないが、言葉を返す。
「俺もこの世界が大好きだから、気にするな。」
◇
どうも、レイです。今現在、獣王国を目指しています。あ、クラスメイト達には“悪魔王”を倒せた事を伝えた。そしたら。
「おつおつ~。」「いい素材出た?」「なんか武器落とした?」
……………こいつら、全然心配してねぇ。
至宝里からは「凄いじゃないか!」と、
マコトからは「お疲れ~。」と、
コユキからは「良かったです~」と、抱きつかれた。そしたら。
「畜生!」「俺のほうがイケテ………ぐはっ!」
「バカ野郎! 自分のライフ削ってどうする!」
「きっと出来る!…………ハズだ!」
こんな感じで、血の涙を流しながら睨まれた。
ちなみに、勇者として魔王撃破を報告しなきゃいけないので、アイン王国に戻るらしい。
何故か、コユキが「待っててくださいね♪」と言っていたが、何の事だろう? ま、それはともかく。
「戻りたくねぇ。」
獣王国に戻りたくない。何故かは分からないが、戻りたくないのだ。なんか、頭の中に白い狐がちらつく、ま、まぁ。こんな所にまで来てるわけないか。ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ。
◇
「レイ! 待っていたわよ!」
「WHY????」
なんでや! なんで、ヒツキお嬢様がいるんや! なんで、フィーとシェテと仲良く話てるんや! なんで、コユキも混じって話とるんや! アイン王国行ったんじゃないのか!?
「我慢できなくて、来ちゃいました! それにしても、ヒツキちゃん、狐だったんですね。それも九尾。」
「まぁね。レイ?」
「はい? なんですか、お嬢様?」
「名前で呼んで。」
「はい?」
「敬語禁止。」
「はい?」
「他の三人は呼び捨て、タメ口なのに………だ・か・ら! 呼び捨て! 敬語禁止! いい?」
「いや、えっと?」
んな事言われても、無理………
「呼ばなきゃ駄目。」
フィー? なんで、刀に手を置いてるの?
「師匠! ちゃんと呼ばなきゃ駄目ですよ!」
シェテ? なんで、ファインティングポーズしてるの?
「そうですよ。言う事きいてくださいね。」
コユキ? その杖なんか、禍々しいんだけど。
「だー! 分かった、分かった。ヒツキ! これでいいんだろ?」
「! そーよ。分かればいいのよ、分かれば。」
「良かった。」
「そうですね~。」
「はい!」
ため息をつきつつも、まぁいいかと、心の中で思う俺。上を見上げると、青空が何処までも、何処までも、広がっていた。
申し訳ありませんが、一週間ほど投稿をお休みします。