アルタ━━━━“魔弾ノ射手”
八十三話目です。
アルタの前世と、イリテアとの戦闘です。
俺の名前はアルタ、前世は、二条 有 (ユウ・ニジョウ)だ。
普通の家庭に産まれ、普通の暮らしをしていた。特技は射的。というか、狙ったモノには、だいたい当たる。丸めたティッシュをゴミ箱に投げれば、絶対に入るし、近所の祭りで出た射的の屋台には、いつしか周りから『やるな! アホウ!』と言われるようになった。
高校を卒業した後、やりたい事が決まってなくて、父さんの弟さんに『世界を旅してみないか?』と言われ、二つ返事で受けた。
弟さんは、家事が下手だったので、俺が代わりにやる事になった。そのおかげかで、家事と料理の腕が上がった。特に紅茶を淹れるのが上手くなった。
アメリカに行った時に、射撃体験をさせてもらったら。百発百中。面白いように当たった。弟さんからは、『自衛隊員か、刑事にでもなったらどうだ?』と言われたが、自衛隊員や、刑事なんて生半可な覚悟でなれるものなんて、思ってなかったので、遠慮した。
そんな俺の人生は20歳で終わりをつげる。とある国に行った時、変な宗教団体のテロに巻き込まれ、小さな子供を庇った結果。ガトリング砲で蜂の巣にされた。死因が、ガトリング砲で蜂の巣なんて、アニメか映画の中だけだと思っていた。
そして、気付くと白い空間にいて、目の前には、裸の美女。え? 羨ましいって? ハハハハハハ。
顔だけな。顔から下は、ムキムキでした。ボディービルダーも、真っ青のムキムキぶりでした。正直吐くかと思いました。
んでんで、どうなったかと言うと、転生させられました。なんと、美の女神だったらしく。(内心。“美”じゃなくて、“肉体美”の間違いだろ? と、思った。)
『自身を犠牲に、子供を救うとは素晴らしい!』と言われ、褒美に転生させられた。
神様から貰った能力は三つ
一つは【百発百中】 発射した弾丸がホーミングする。
二つ目は【白夜之双銃】 白い銃と、黒い銃を生み出す能力だ。白と黒それぞれに特殊能力がある。
三つ目は【異名スキル:魔弾ノ射手】これはまぁ、色々だ。
転生先は魔族だった。といっても悪い種族じゃない。悪いヤツもいるが、少数だそうだ。そして、転生先でつけられた名前は、“アルタ”だ。結構気に入っている。
そして、色々あって執事になり。今の雇い主の所に来たというわけだ。
『色々』の部分は黙秘する。そして、今現在の状況は? というと…………
◇
「【フレア・ショット】」
「“守護”」
俺が放った炎の弾丸が、魔法陣によって防がれる。魔法陣はすぐに壊れたが、まだ、10個以上残っている。魔法陣は創り出してしまえば、攻撃にも、防御にも、補助にも使える。めちゃくちゃめんど………厄介なモノだ。
「一気に壊すか。【フレア・ショット】」
「どこを狙ってるの?」
俺が放った弾丸は、相手の後方に飛んでいく。まぁ、いいのだが。
「ご安心を、“的”は貴女ですから。」
「なにを言ってるの?」
後方に飛んでいった弾丸は、曲がって“的”に向かって飛んでいく。そして、相手の後ろ。ほとんどの魔法陣が集まってる、真ん中あたりに来たところで
「【バースト】!」
「ッ!? “守護”!」
およ? 相手も巻き込めると思ったんだが、まぁいいか、当初の目的通り。爆発した弾丸の爆風によって、ほとんどの魔法陣を壊せた。後は、次の魔法陣を作らせないように、連続で攻撃するだけ。
「【フレア・ショット】×3【アイス・ショット】×3【サンダー・ショット】×3」
「当たらないわ!」
相手は弾丸を避けるが、無駄だ。“的”か、障害物に当たるまで、相手を追い続ける。【百発百中】便利すぎ!
「きゃぁぁぁぁぁ!!!」
おっ。全部当たった。
「もう。許さない! 【全智ノ魔導書群】」
そんな言葉とともに、相手の周囲にたくさんの“本”が現れる。
◇
「これは?」
「一冊1000ページ。それが、1000冊あるわ。その1ページ 1ページに、最上級魔法陣が描かれているわ。」
「何ッ!?」
「ふふふ。初めて驚いたわね。」
そりゃ驚くだろ。魔法陣が全部合わせて百万個だぞ!? これはヤバいな。
直ぐに、首もとに着けている魔導具を起動させる。
「アリカ。アリカ。聞こえますか?」
『ふぁい。なんですか? 執事長。もう就寝時間過ぎてますよ?』
「レベル7の賊と戦闘中です。城に結界をはってください。」
『へ? レベル7? 最大危険人物ですか!?』
「それぐらいという事です。他の使用人も叩き起こしてください。急いで!」
『はい! 応援は?』
「要りません。姫様に気付かれないように。いいですね?」
『分かりました!』
魔導具を切ると、直ぐに城に防御結界がはられる。
「結界? 貴方は入らなくていいの?」
「私を守るためではなく。城を守るためですから。」
「ふーん。まぁいいわ10冊ぐらいでいいかしら? “爆裂”」
気付くと、周囲に10冊の本が浮かんでおり、その本は光輝いて━━━━
「しまっ ッ!?━━━━━」
『ズドォォォォォォォォン!!!』
━━━大爆発を引き起こした。
「死んだかしら?」
「【セイント・ショット】」
「ぐっ!」
土煙の中から放たれた空色の弾丸が、イリテアの胸に当たる。
「まだ生きて………あら? 倒れてるわ。最後の悪足掻き。ってやつかしら?」
「いいえ。これで、チェックメイトです。」
弾丸は撃ち込めた。後は、“発動のトリガー”を、“奥義”の名前を言うだけ
「【ラスト・バレット】」
「なにを?━━━━ッ!?」
相手の胸。弾丸が撃ち込まれた場所が、空色に輝き、その光が一本の線になり、内部から身体を縦に撃ち抜いた。そして、相手は崩れるように倒れる。
「任務完了。」
アルタは短く呟き。寝転がった。




