“四魔将”その二
七十六話目です。
「獣王様! 大変です!」
「何があった?」
獣王が私室でくつろいでいると、兵士があわてて入ってきた。
「魔王軍と名乗る者達が攻め込んで来ました!」
「なんだと!?」
「父上行ってまいります。」
「レウル兄さん!? 行っちゃったか。」
「グレア、ルティエ達を頼んだ!」
「分かった、母さん達の側に入るよ。」
「レオシアン、手伝うぜ!」
「ヴィーネ、悪いな。ん? お前の娘はどうした?」
「もう、飛び出して行っちまったよ。」
「うぉぉぉぉぉ!!!」
「邪魔よ!」
「ぐぴゃっ!」
「まったく、雑魚ばっかり。魔王は何処よ!」
“四神獣”の一人、赤光のヴィーネの娘。クレアは魔王軍の下っぱを倒しながら進んでいた。
「おやおやおや~。随分数が減りましたね~。貴女の仕業ですかな~。」
クレアの目の前に、小太りの男が現れた。
「ふんっ! 雑魚に興味はないのよ! 消えて!」
「これは、これは、手厳しい~。自分は“四魔将”の一人、アンドラといいます~。」
「ふ~ん、幹部なの? 少しは楽しめそうね。」
「さてさて~。どうでしょう~。」
「ふんっ!」
「おっと~。そんな大きなモノどこから出したんでしょ~。」
クレアはいつの間にか右手に深紅の大剣を持ち、アンドラに斬りかかっていった。
「【爆炎斬】!」
「おっと~。危ないです~。」
「ちっ! 以外と素早いわね。」
「今度はこちらの番です~。【エア・ボム】」
「ッ!?」
アンドラがクレアに向けた右手から、ナニかが飛び出し、クレアは持っていた大剣で受け止める。
『バンッ!』
クレアは、そのまま10メートルほど吹き飛ばされた。
「何? その技?」
「企業秘密です~。」
◇
「そこまで強くないな。陽動かなにかか?」
「それは否であり、是でありんす」
「何者だ?」
レウルの前に、見たこともない服をし、不思議な傘をした女がいた。(レイが見たら「和服に、和傘? だっけか。」と言っただろう。)
「わっちは、“四魔将”の一人、キキョウでありんす。あんさん、死んでもらうでありんす。」
「ふっ。死んでもらうか、物騒だな。」
「行くでありんす。【壱之太刀:木】」
「ん? くっ!」
気づくと、すでにキキョウは後方に移動しており。レウルの足が斬りつけられており、『木』の文字が赤く刻まれていた。
「なんだ? この文字は?」
「『木』『火』『土』『金』『水』五つの文字があんさんに刻まれた時、あんさんに災いがふりかかるでありんす。」
「災いか。そんなもの吹き飛ばしてやろう。」
「さてさて、あんさんに出来るでありんすかね?」
獣王国で、新たな戦いが始まろうとしていた。