グレリゴVSフィー
七十五話目です。
「【四ツ呪イ】」
「うっ。」
「ハハハー。これオレっちの勝ち確定っしょー。後三回で、あんたが死ぬぜ!」
何体もの人形を倒したフィー。だが、倒したそばから新たな人形が生まれ、グレリゴを消し飛ばすように殺しても、隠してあった人形が消えるだけだった。
「そろそろ諦めたら? オレっちを倒すなんて不可能なんだよ!」
「いや!」
「へ! 呪いのせいでまともに動けないくせによぉ!」
「くっ!」
「【マーダー・ドール】追加だぜ!」
次々と現れる人形達。殺しても死なないグレリゴ。絶望的な戦いがそこにはあった。
「(私が後三回殺せば、私が死ぬ。)」
「ハハハー。殺れ人形達! そいつを殺せ!」
「(私は呪いで殺される……………なら。)」
「もう終わりだなぁ!」
「よし! 【存在改変:天女】」
「あぁ?」
フィーの身体が光輝き、光が収まると、耳の少し上から、純白の小さな翼を生やしたフィーがいた。
◇
「なんだ? それは。」
「翼。」
「そういう事を聞いてるんじゃねぇ!」
「うるさい。【神天刀:耀閃】」
振るわれた刀から、黄金の刃が飛び。命中したグレリゴを蒸発させた。
「なんつー、温度だよ! だが、【五ツ呪イ】」
グレリゴは笑って五つ目の呪いをフィーへと飛ばす。
『パリン』
「何!?」
呪いはフィーに当たる前に、ガラスの割れるような音を残して、消えた。
「なんで全部呪いが解けてるんだよ!」
「“天女”に呪いは効かない。」
「そんなのありかよ! くそっ!」
「まだまだ、【神水刀:冰龍】」
フィーの放った突きが、水の龍に変わり、グレリゴを食いちぎる。
「くそっ! こうなったら。どうせ死ぬんなら、てめぇも巻き添えだ! “我を素とし、生まれ落ちよ、呪滅の王よ。”」
グレリゴは、持っていたナイフで自身の首を切り裂き。
―――――【クリエイション・カオスマリオネット】
禁断の人形を生み出した。
◇
「どうかしましたか?」
シェテは今の今まで、愚痴をもらしていた人物が、突然黙ったので話かけた。
「グレリゴが何かしたようね。」
「えっ!? フィーさん大丈夫でしょうか?」
「分からないわ。」
「そんな。私、助けに行きます!」
「駄目よ! 今出るのは危険だわ。信じましょう。彼女の事。」
「はい。」
シェテは心配そうに、上を見上げた。
「(フィーさん、どうかご無事で。)」
◇
「何アレ?」
現れたのは、巨大な人形だった。その身体からは禍々しい気が溢れていた。
『グガガ、ギギギ、ゴグゴガ』
「あれは、まずい。【神天刀:輝浄】」
『ガガガ』
「効いてない?」
シェテが放った、浄化の力がこもった斬撃をものともせず、人形は歩いて行く。
「【神空刀:歪壊】」
『グガガ』
「駄目。【神天刀…………】」
その後も、いくつもの技や魔法を放つが、人形にはかすり傷一つ付けられなかった。
「はぁ、はぁ、効かない。」
『ゴグゴガ!』
「ッ!? くぅ!」
突如、人形がその口から禍々しい光線を放ってきた、間一髪で避けたフィーだが、光線が当たった場所は禍々しい気に包まれていた。
「不味い。【千剣舞踏】」
再び、いくつもの剣が空中に現れる。しかし、先ほどまでと違い、剣は輝いていた。さらに
「まだまだ、【万剣舞踏】」
さらに、多くの輝く剣が空中に現れる。
「もっと、もっと、【剣舞踏:無限】」
フィーの頭上は光輝く剣で、埋め尽くされていた。
「よし! “アマノムラクモノ剣”顕現。」
フィーの言葉とともに、空中にあった剣が一つになり、巨大な剣をつくりだす。そして、フィーが腕を振り下ろすと、剣も動き人形を真っ二つにした。
『ガガガガガガガガガガガガガガガ!!!』
「【神ノ涙ハ夢ト散ル】」
そして、剣は人形とともに光になって消えた。
「ふぅ。おしまい。」
フィーに生えていた翼もいつの間にか消えていた。
「フィーさん!」
「シェテ、無事だった?」
「はい! あの人敵じゃなかったんです!」
「そうなの?」
「はい!」
「そっか、良かった。」
こうして、フィーの戦いは終わった。
レイの【神霊衣】忘れてたんで、【存在改変:天女】と一緒に。
【神霊衣】
契約した“神霊”を衣服として身に纏い、一時的に纏った“神霊”の力を使えるようになる。
【存在改変:天女】
一時的に自身の存在そのものを“天女”へと変え、自身の全ステータス値を20倍する。
“天女”の種族スキル【浮遊】【神聖体】【仙術:天】が使えるようになる。
【浮遊】
浮く事が出来る。
【神聖体】
呪い無効化、状態異常無効化、HP自然回復。
【仙術:天】
自然に干渉する事で、“天属性”の仙術が使えるようになる。
“天属性”は“光属性”みたいなものです。
【神ノ涙ハ夢ト散ル】
“アマノムラクモノ剣”で切り裂かれたモノが光に変わり、消える。