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【憤怒】の終わり。

七十三話目です。

始めは【憤怒】の過去話から、始まります。




彼女は、美しい女性だった。



「おはよう、カタロフ。今日も早いのね。」


「やぁ、ローズ。なんだか、目が覚めちゃってね。」


「ふふふ。そうなの?」


「ハハハ。そうなんだよ。」



彼女は、魔族の中でも特に厳つく、怖いと言われる俺にも、普通に接してくれた。



「皆な、怖い。怖い。って、言ってるけど。全然怖くないわ。」


「そ、そうかな?」


「えぇ、ハンサムだと思うわ。」


「え!?」


「ふふふ。冗談よ。」



冗談でも、嬉しかった。




「カタロフ、私ね、夢があるの。」


「夢?」


「そう。私のお店が世界一になって、世界中が私の店の、たくさんの花に包まれるの。素敵でしょ?」


「あぁ、とても良いことだ。」


「ねぇ。その時も側にいてくれる? いつもみたいに。」


「もちろんだ!」


「ふふふ。約束よ。」


「あぁ、約束だ。」




彼女の笑顔を守りたくて、強くなった。【魔大陸】でも、知る人ぞ知る達人に、だが

































「なんだ、コレは?」



長期の仕事が終わり町に帰ると、燃えていた。真っ赤に、あちこちから火の手があがり、叫び声が聞こえた。



「なんで?」


「おいおい、まだ魔族がいるぞ。」


「本当だな。」



嫌な笑みを浮かべた、人間がいた。



「お前達のせいか! 【バースト・ナックル】!」


「ぐほっ!」


「くそっ! なんでこんな事に…………………ローズ? ローズは無事か?」




すぐにローズの店に向かう、そして、そこにローズはいた。燃える店に手を伸ばしたまま、倒れているローズが、ボロボロの状態で。



「ローズ!」



すぐさま、ローズを抱き上げる。ローズはこちらを見て涙を浮かべた。



「ごめんね、カタロフ。私汚されちゃった。初めてはあなたにって、決めてたのに。」


「喋るな! 傷が開くぞ!」


「ごめんね。一緒にいるって約束したのに。ごめんね。ごめんね。ごめ……………」


「ローズ! ローズ! 頼む起きてくれ!」




何故ローズが? ローズが何をした?



「ふざけるな! フザケルナ! なんでなんだ! ローズが何をしたんだよ! 優しい彼女が何をしたんだ! ユルサナイゾ! 彼女を奪った人間も! コノセカイモ!」



《【魔王スキル:憤怒】を取得しました。》



「全部壊シテヤルゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!」
































「ユルサナイ、カノジョヲウバッタ、コノセカイをコワシテヤル!」


「黙れよ。」


「マダイキテイルノカ。」



ボロボロになりながらも、ベルは立ち上がった。その瞳を怒りに染めて。



「生きてりゃ、嫌なこともある。死にたくもなる。だけどな、それでも精一杯生きなきゃなんねぇんだよ。自分を産んでくれた人に失礼だろ? お前の事情はよく分かった。だけどな、怒りに我を忘れて、そのローズさんの好きだったこの世界を壊すのは許せねぇ!」


「ダマレ! キサマニナニガワカル! カノジョノキモチノナニガワカル!」


「分かんなきゃいけねぇのは、てめぇだろうが!」


「ダマレ! ダマレ! ダマレ! ダマレ! ダマレ! ダマレ! ダマレ! ダマレ! ダマレ! ダマレ! ダマレ! ダマレ! ダマレ! ダマレ! ダマレ! ダマレ! ダマレ! ダマレ! ダマレ! ダマレ! ダマレ! ダマレ! ダマレ! ダマレ! ダマレェェェェェェェ!!!」



カタロフが拳を大きく振り上げ、ベルに叩きつける。



「死んで頭冷やしてこい!」



ベルも拳をカタロフへ向けて放つ。そして、拳と拳が当たる瞬間




「【マキシマム・カウンター】!!!」



ベルの持つ始源スキル【反逆者】の奥義が発動した、その力は相手の攻撃を100000000倍にして、跳ね返すという技だ。



「ッ!?」



周囲一帯が閃光に包まれ、晴れた場所には、血まみれのベルがいた。



「ったく。バカなヤツだったぜ。」



そう言ってベルはそのまま倒れ、気絶した。



「まったく、無茶しすぎよ。【天之祈】」



アルフェリアが、ベルに向けて魔法を使い。傷を癒す。



「少し、休むといいわ。」



































――――ここは?



――――カタロフ。



――――ローズ? 何故?



――――いいじゃない、そんな事。これからは、ずっと一緒よ



――――ずっと?



――――えぇ、ずっと。



――――そうか、そうか…………




色とりどりの花が咲きほこる場所で、二つの魂は、今一度巡り会った。


【憤怒】撃破! 次は、【傲慢】です。

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