続きと、秘密の力と、神
七十話目です。
「しーしょー!」
「帰って来たか。」
まったく、何処まで飛ばされたんだか。←飛ばした張本人。
「場外は無しですよね! ね!」
フィーが「失格。」と、言ってたけど、まぁ、いいか。
「おう! んじゃ、再開といくか。」
「はい! いきます【変化】!」
おや? 【変化】を使ってきたな。ならば、こちらも新スキルというか、仲間というか、…………………………………
いくぜ!
「【神霊衣】“黒幻”」
呟くと同時に、俺の着ていた服が漆黒の胴着に変わる。さらに、所々黒く放電している。初めて使ったがこんな感じになるのか。
『王よ。さっそく出番か?』
『おう! まぁ、模擬戦みたいなものだけど。』
『模擬戦だと? そんなものに我を呼んだのか。』
『だって、俺の一番弟子だし、【変化】使われたし。というか王って呼ばないでくれない。』
『ふん! 【月読虎】か………………我と同格だな。いいだろう、好きに使うといい、王よ!』
『…………黒幻って、俺の事王って呼んでるけど、全然敬ってないよね?』
『何を言い出すんだ、しっかり敬っているぞ。』
『さいですか。』
さて、会話もそこそこに、さっさと初めますか。
「師匠! なんですかそれ!?」
「秘密の力だ!」
「なるほど!」
「いくぜ! 【黒雷拳:滅】!!」
漆黒の雷を拳に纏わせ、シェテに向けて突き出す。もちろんシェテに当たる寸前で拳を止める。そうしないと、ヤバいと思った。そして、拳に纏っていた黒雷がシェテの後方に迸り…………
『キィィィィィン!!!』
………………耳障りな音とともに爆発し、地面を消し飛ばした。
へたりと、シェテが座りこむ。うん、人前では封印だな!
「師匠、腰が抜けました。」
「はぁ? 仕方ない。」
とりあえず、シェテをお姫様抱っこして、フィーの所に向かう。ぺたり。ん?
「レイ、私も抜けた。」
フィー、お前もか!
◇
「師匠、さっきの力は、どうやって手にいれたんですか?」
「気になる。」
「ん? あれか、あれはなぁ……………」
シェテとフィーが、黒幻について聞いてきたので、話す事にする。そう、あれは少し前、闘技大会のトーナメントが始まる前夜の事…………
◇
「ここは?」
見覚えがあるような、ないような真っ白な空間にいた。
「私よ!」
そんな声が聞こえたので振り向くと。
「な、んだ、と…………」
成長した、のじゃロリ神様がいた。出るとこでていて、男にとっては理想の女性像なんじゃないだろうか。ちなみに俺は、年が離れすぎてなければ、巨乳でも、貧乳でも、どちらでもオーケーです。というか、暫く見ていて気づいたが、顔が似ているだけで、別人だった。
「のじゃロリ神の姉妹?」
「そう! 私がお姉ちゃん。駄目な妹に、出来たお姉ちゃん! そんな感じ。」
「わしが妹ではなく姉なのを除けば、だいたいあってるのぅ。」
でたな! のじゃロリ神!
「人をお化けみたいに言うでないわ!」
思考を読めるのか……………厄介な!
《“思考解読無効”を有効化しますか?》
出来るなら、お願いします!
《“思考解読無効”を有効化しました。》
よし!
「ちっ! “思考解読無効”を有効化しおったか。」
「器用だね~。」
「で? 今回は何のようだ?」
「うむ。御主に頼み事があっての。」
「そうそう。ピンチなのよ~。」
「どういう事だ?」
「実はのぅ。……………………
◇
………………………と、言うわけじゃ。」
「成る程。俺は勇者達の手助けをすればいいのか。」
「そうじゃ。御主の知り合いじゃし、いいじゃろ?」
「一人会いたくないのがいるが、まぁ、いいか。」
「そうか、ではこやつをやろう。」
俺の前に馬のような生き物が現れた。身体は黒く、所々金色の模様が光っており、身体が黒く放電していた。
「こいつは……………麒麟か?」
『ほう? 我の事を知って……………ツ!?』
「ただの麒麟じゃないわよ! 世にも珍しい黒い麒麟なんだから!」
「種族は麒麟じゃが、大きなくくりでいえば、御主と同じ神霊じゃ。」
「ふーん。」
『まさか、王に会えるとは…………』
ん? 王ってなんだ? 俺が首を傾げていると、察したのじゃロリ神が、
「御主の事じゃよ。【神霊王】じゃろ?」
「確かに。」
「それじゃあ、ちゃちゃっと“契約”しちゃおう!」
『よろしく頼むぞ、王よ。』
へ?
《麒麟との契約が完了しました。スキル【神霊衣】を獲得しました。》
《麒麟に名前をつけますか?》
ん~、じゃ、“黒幻”で。
《麒麟の名称を黒幻に設定しました。》
「よろしくな! 黒幻!」
『あぁ、よろしく頼む。』
「む? そろそろ時間じゃの。」
「え? 最後に名前を! コホンッ、私は“陽の霊神 カグラ”だよ! よろしく、レイくん。」
「そういえば、わしの名前もまだじゃったの。“陰の霊神 カムイ”じゃ。覚えるのじゃぞ、レイ。」
「おう! カムイに、カグラだな。じゃあな。」
「またの!」
「ばいば~い!」
そして、目が覚めた。
◇
「と、言うわけだ。」
「成る程!」
「納得。」
「てな、わけだから。暫くしたら、この国から離れるんだけど、二人はどうする? 俺は終わりしだい帰ってくるぞ?」
「残ってる。」
「じゃあ、私も残ります。」
こんな感じで、これからの事が決まった。