幕間その9 出会い
幕間その9です。
王女様視点です。
私の名前は、“リミル・ブライル”といいます。 “ブライル獣王国”の第三王女です。偉大な父様と、優しい母様、二人の兄と、二人の姉をもつ、末っ子です。
今回は、港町“ラルド”の視察に、同行させていただく事になりました。 家族の皆には内緒です。
「リミル様、そろそろお時間です。」
「はい。分かりました。」
出発の時間のようです。王都から出るのは初めてなので、楽しみです。
◇
「王女がいるのは分かってるんだ、さっさと出てこい!」
どうしましょう? 盗賊に襲われてしまいました。それに何故、私がいるのが分かったのでしょう?
「くっ! お逃げください、リミル様! ここは我々が!」
「ザコにようはねぇ! 【変化】」
「なっ!? がはっ!」
「【変化】だとっ!? くそっ! とにかく時間をかせぐんだ!」
「ハハハ、無駄だぁ!」
「くぅ。」
「本当にいましたね、お頭。」
「あぁ、貴族もたまにゃぁ役に立つな。」
そんな、貴族のかたが? まさか、反対派の……誰か助けに来て下さい。
盗賊のアジトでしょうか? 洞窟に連れてこられた私は、牢屋の中に入れられました。
この後どうなるのでしょう? 奴隷にされるのでしょうか? 殺されてしまうのでしょうか?
「父様、母様………………………」
もう一度会いたい、その腕に抱かれたい。
「誰か助けて……………………」
『ズドォォォォォン!!!』
「おい! 大変だ!」
「何があった!」
「敵が乗り込んできた!」
「冒険者か? 何人だ!」
「一人、狼族の男が一人だ!」
「一人? ならさっさと潰そう。」
「おう!」
一人? 誰でもいい、助けて…………………
◇
『バキッ!』
何の音?
「もう大丈夫ですよ。」
「助けていただき、ありがとうございます。何かお礼を……………………」
「そんなもの要りません、当然の事をしたまでです。ご無事でなにより。」
「なんて素敵な人なんでしょう。(ぜひ、婚約を…………………)」
こんな素敵な人に助けていただけるなんて、今日はなんて、いい日なんでしょう♪
「おーい、フェノ大丈夫か!」
「王女様を助けるなんてさすがでヤンス!」
フェノ、フェノ様というのですか、お名前まで素敵です!
「フェノ様というのですね。私は、リミルといいます! リミルとお呼びください。」
「素敵なお名前ですね、リミル様。」
素敵、素敵なんて、えへへへ。
「アニキ王女様もしかして…………………」
「あぁ、ありゃ惚れてるな。フェノには幸せになってほしいし、協力してやるか。」
『あひゃひゃひゃひゃひゃ!!!』
『ほれほれ、ここか? ここがいいのか?』
『弱点めっけ!』
『ぶはっ! やめろ! やめてくれ!』
『アハハ、楽しいですね! 師匠!』
『だろう? さぁはけ! 誰から依頼された!』
『話す! 話すから! やめてくれ!』
「兄さん、あの人達何してるんだ?」
「なんでも、王女様を拐わせるように依頼したヤツがいるらしく。拷問してはかせるらしい。」
「あれ拷問なんでヤンスかね?」
ふふふふふ、フェノ様。あぁ、フェノ様、私がんばります! フェノ様との、薔薇色の生活のために!
【記憶視】を使えば分かるのに、何故拷問するかって? 面白いからだ! byレイ