シェテの故郷
五十八話目です。
「見えてきましたよ! あそこが、私が暮らしていた村です!」
「ほ~。あそこがそうか。」
途中、盗賊が出てきたりもしたが、無事にシェテの故郷へ着く事ができた。っと、そんなこんなで、村に着いたようだ。
「イルグさん、ウルグさん、お久しぶりです!」
「シェテちゃん? おおシェテちゃんか!」
「久しぶりだなぁ、シェテちゃん。」
どうやら、シェテの知り合いだったらしい。
「ご紹介します、一緒に旅をしている、フィーさんと、師匠のレイさんです!」
「どうも、レイです。」
「フィー、よろしく。」
「シェテちゃんの仲間か、歓迎しますよ!」
「あぁ~、シェテお姉ちゃんだ~。」
「あら、ほんと久しぶりねぇ、シェテちゃん。」
「おお、シェテちゃん久しぶり~。」
「お久しぶりです~、皆さん!」
シェテのヤツ、人気者だな。
◇
「着きました、ここが私の家です。」
村にある、シェテの家に着いた。
「昼食作るね。」
「頼んだフィー。」
「私は少し外に用事が。」
「分かった。」
俺も料理が出来るまで暇なので、外に出ることにした。
外に出て家の裏手にまわると、シェテが3つ並んだお墓の前で座っていた。
「シェテ。」
「覚えてないんです。」
おそらく、家族の事だろう記憶を見た者としては、何とかしてやりたいが……………………よし。
「思いだしたいか?」
「そうですね……………………記憶を無くした時の、村の皆さんの反応からして、辛い事があったんだと思います……………………」
記憶の中のシェテは、“変化”した後の事を知らないようだ。そのせいで、“勘違い”をしている。俺は“虎”に教えてもらったが。
「………………でも、辛くても思い出したいです。先に進めませんから。」
「なら、何とかしてやる。」
「…………………え?」
「俺の能力を使えば、出来ると思う。今夜でいいか?」
「…………………はい。お願いします。」
どうやら、覚悟を決めたようだ。乗り越えられるかは、シェテ次第だな。
「できたよ~。」
「は~い!」
「先行っててくれ、まだやることあるから。」
「分かりました!」
シェテが行ったのを確認し、お墓の方を向く。
微弱ながら、“3つの魂”があるのが分かる、その魂が不安そうにしているのも。
「アイツなら大丈夫、きっと乗り越えられます。だから、笑って送り出してください。俺も、フィーもついていますから。」
そう語りかけると、3つの魂が、安心したように光った。
◇
「シェテ、準備はいいか?」
「はい。お願いします。」
「分かった、【憑依】」
久しぶりにシェテに“憑依”をする。
「集中しろ、いくぞ。」
『はい。』
【憑依】【記憶視】を利用し、シェテに自身の記憶を見させる、できれば、“虎”とも合わせられればいいが。
◇
朝が来た。
「シェテ、大丈夫そうか?」
そう聞くと。
「はい! 完全に吹っ切れました。いやー、ここまで清々しい朝は、初めてですよ!」
「そうか。」
「はい! そうだ、明日は“ブライル獣王国”の王都を案内しますよ!」
もう、大丈夫みたいだな。これで安心できた。
シェテの、過去の解決の話はまたの機会に