合流その2と、敵
四十四話目です。
コユキ視点です。
◇
■コユキ視点■
「やっと、抜け出せた。」
右も、左も、鳥 鳥 鳥 な、空間からやっとのおもいで抜け出せたコユキがたどりついたのは
「ここは……………森かな?」
どことなく暗く、嫌なかんじのする森だった。
「とにかく、他の皆を探さないと。」
皆を探そうとするコユキに近づくのは
「なるほど、ここはアンデットが出るんだ。」
ゾンビや、スケルトンが迫って来た。
「? 武器を持っていない?」
アンデット達は、何故か武器を持っていなかった。
「とにかく、倒さなきゃ【ホーリー・ベル】」
澄んだ鈴の音が周囲に響き、アンデット達が塵になる。
「よし! 行こう。」
◇
「レイく〜ん、フィーちゃ〜ん、シェテちゃ〜ん、皆どこ〜。」
皆の名前を呼びながら探すコユキ、すると
「………………ュ…………………。」
「ん? この声は。」
「コユキ〜。」
「やっぱり、フィーちゃ〜ん、こっちで〜す。」
ドドドドドと、走ってくるフィーその後ろには
「なんで、あんなにたくさんアンデット引き連れてるの?」
大量のアンデットがいた。
「コユキ! 助けて!」
さっと、コユキの後ろに隠れるフィー。
「分かりました。【聖者の息吹】!!!」
直後放たれた、空色の波動があたったアンデットが、塵に変わる。
「もう大丈夫ですよ。」
「うん、ありがとう。」
◇
「なかなか、見つかりませんね。」
「本当。」
アンデット達が住み着く森を進む、フィーと、コユキ、まだ皆を見つけられないようだ。
「………………アンデットが少なくなった?」
「え? どういうこと。」
「さっきまで、少し歩いたら出てきてたんですけど、全然出てこなくなりました。」
「彼らじゃ、あなた達を捕まえられそうにありませんからね。」
「「ッ!?」」
振り向くと、黒いスーツに、黒いシルクハット、無地の白い仮面を着け、ステッキを持った人物がいた。
「誰!」
瞬時に剣を抜き構えるフィー。コユキも、いつでも魔法が使えるように構えた。
「フフフ、ワタシは“ふぁんとむ”と申します。」
「………………ふぁんとむ。」
「えぇ。べへお嬢様護衛部隊、“カゲ”担当です。」
その存在感は、まさに強者という感じだった。
「コユキ! レイ達を探して!」
「フィーちゃんは?」
「私は、こいつを倒す。」
ふぁんとむと名乗った男を見据え、“倒す”と宣言するフィー。
「分かりました。頑張って下さい。」
「うん、任せて。」
コユキは、フィーの言葉を信じ走り出す。
「アハハハ、アナタがワタシを倒す? 面白い冗談ですね。」
「冗談じゃない。」
「ククク、では教えてあげましょう。アナタでは、ワタシを倒せないと。」
漆黒の球体を周囲に浮かべ語る、ふぁんとむ。
「倒す。」
そして、対峙するフィー、二人の戦いが始まろうとしていた。