温泉にて
三十九話目です。
「本当に、無料でいいんですか?」
「はい、皆様には町を救っていただきましたから。」
「それじゃあ、お言葉に甘えて。」
ブタ野郎どもを殲滅したお礼に、旅館に無料で泊まっていいと言われた。
「俺とマコトが同じ部屋で、他は大部屋でいいよな?」
「あぁ、それでいいと思うぞ。」
「ボクも、おーけー。」
「「「………………………。」」」
他の三人が、何故か不服そうだな。
「なんだ? 二人部屋とか、一人部屋とかのほうが、いいのか?」
「「「いいえ、大部屋でいいです。」」」
「そっか、それでお願いします。」
「はい、ではお部屋へご案内します。」
◇
「おお、いい部屋だな。」
「本当だな。」
日本にある、まんま旅館だった。
「よし! さっそく温泉だ!」
「そうだな。」
◇
「のあ〜、極楽極楽。」
「確かにいい湯だが、『のあ〜』ってなんだよ、『のあ〜』って。」
「おいおいレイくん、気持ちいい時に、思わず出てしまう声に決まってるじゃないか。」
「そうか?」
「そうだよ。」
『うわ〜、広いですね!』
『ボク貸し切りなんて、初めてだよ。』
『私も。』
『そうですね。』
どうやら、フィー達も温泉に入ったようだ、それにしても……………………
「マコト、何しようとしてるんだ?」
「バカ野郎! 男のロマンを叶えに行くんだよ!」
「そうか、逝ってらっしゃっい。」
「おう! 待て、今『いく』の意味がおかしくなかったか?」
「あぁ、もっと分かりやすく言うか、死んでこい。」
「何故に!?」
「お前、あの四人を覗いて、無事でいられるとでも? それ以前に覗けるとでも?」
「バカめ! 俺は賢者だぞ。」
そう言いながら、男湯と女湯を隔てている、柵を登りきる。
「ハーハッハッハ…………………え?」
「「「「変態は死すべし!」」」」
「え? 皆な、何もって………あぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
マコトが、落ちてくる。
「ロマンはどうだった?」
「皆な、プロテクトスーツみたいなの着て、銃もってた。」
「……………………もしかしなくても、ネアが作ったのか。」
『その通りだよ!』
服まで作れるのか、やっぱすごいなネアは。
◇
■フィー視点 〔女湯〕■
「師匠は、来ませんでしたね。」
「うん、残念。」
「なんでだい?」
「師匠が来たら!」
「見せてもよかった!」
何がとは言わない!
「そんな、だ、駄目ですよ! はしたないです!」
「何いってんですか! 師匠は鈍感だからここまでしないと、女の子として見てくれないです!」
シェテの言葉に頷く。
「え? そうなんですか。」
「「うん!」」
「そ、そうですか。じゃあ、私も頑張ります!」
「ほどほどにしたほうが、いいと思うよ。」
「頑張ろー!」
「「「おー!」」」
「大丈夫かな〜…………。」