たとえ、自分が壊れても
二十七話目です。
「フィーさん！助けにきました！」
「……………シェテ。」
「侵入者だ！捕まえろ！」
そう簡単には捕まりませんよ、こっちは師匠に鍛えられたんですから！………………………は！師匠なんてもう知りません！
「はぁ！」
「危ないですね！せいっ！」
「ぐほっ！」
さぁ、この調子でどんどん倒して、フィーさんを助け出しましょう。
「アイツ強すぎる！」
「俺に任せておけ。」
「ガンツさん。」
大柄な男が自慢であろうハンマーを降り下ろす。
「くっ！」
シェテがハンマーを受け止める。
「ぐぐぐ。」
「無駄だぜ！王女さんを助けに来たようだが、無駄だぜ、この国はもうすぐガーネル様のモノになる。俺様のモノになるなら助けてやってもいいぜ？」
「誰が…………そんなことを…………、フィーさん！」
「…………………。」
「必ず助け出しますよ！たとえ………………。」
ーーー私が壊レテモ…………………………。
「【変化】」
ーーー壊してやる、何モカモ全テ。
「ガァァァァァァァァァ！！！」
◇
「な、なんだこいつ……げぼぉっ！！！」
「グルゥゥゥゥ！！！」
「なにが、あった。」
「騎士団長殿！！！」
「ガァァァァァァァァァ！！！」
「これは、暴走しているのか。」
「グルゥゥゥゥ！！！」
◇
『お姉………ちゃん………。』
ヤメテ。
『お姉ちゃん…………は、悪く…………ないよ。』
ヤメテ、ヤメテ、ヤメテ。
『だから……………。』
ヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテ。
「グ、ガァァ…………。」
「すまない、はぁ！」
「がっ！」
騎士団長と名乗る男が、シェテの動きを止める。
「牢に入れておけ。」
「………フィー…………さん。」
「シェテ…………。」
「婚約者殿…………いや、フィネア、君はあんな野蛮なヤツと付き合っていたのかい？縁が切れてよかったじゃないか。ハハハハハ。」
「ッツ！貴様。」
「ハハハハハハハハ「うるせぇぞクズ野郎。」ハハ、なんだと！？」
その声はまさしく、先程倒れたシェテのものだった。
「おいっ！そいつを黙らせろ！」
「はっ！「邪魔だ！」え？……ぐはっ！」
「よぉ、フィー、一言文句を言いにきた、一緒にいてほしいならそう言え、助けてほしいならそう言え、俺はバカだから、言われないと分からないんだ。後………………………
…………………遅れてごめんな。」
「……………レイ。」
さぁ、反撃のお時間だ。
次回はレイ視点で、時間が少し戻ります。
