幕間その4 ある王国にて
幕間その4です。
「“舞闘王”様〜!」
「レイ様〜!」
「英雄様〜!」
ここ【ネーベル王国】の王都で、住民達から呼ばれているのは、【アイン王国】に召喚された“勇者”の一人“レイ・ヤナギ”だ。
「ふふっ、人気者ですね、レイ様。」
「ルルシェ王女様。それほどでもありませんよ。」
「ご謙遜を、それと私のことは“ルルシェ”と、呼び捨てで呼んでください。」
「王女様を呼び捨てなどと、おそれ多いことです。」
「もう。レイ様の意地悪。」
(ふぅ、この身体はいいものだが、英雄などと柄ではないな。まぁ、それも後少しだがな。クックック。)
「レイ!こんなところにいたの?」
やって来たのは、薄緑色の髪をツインテールにした少女だ。普通の人間より長い耳をしているので、【エルフ】だということが分かる。
「シーレどうかしたのか?」
「コユキも、アネルも、待ってるわよ。早く行きましょう。」
「あぁ、分かった。ルルシェ王女様失礼します。」
「はい。また来てくださいね♪」
「えぇ、分かりました。」
◇
「遅いぞ!レイ、何をしていた?」
「すまないアネル。少し王女様と話ていた。」
金色の髪をポニーテールにし、鎧を着込んだアネルという名前のこの女性は、まさしく“姫騎士”といえる人物だ。
「レイくん、一旦“アイン”に戻りませんか?なんでも、白宮くんが話があるそうで、“アイン”で待っているそうなんです。」
「真が?ありがとう深山さん。そうだね一旦もどろうか、二人もそれでいい?」
「私は構わないわ。」
「ふん!まぁいいだろう。」
「よし、じゃあ行こうか。」
◇
■マコト視点■
“ヤツ”の目的はなんなんだ?それに“アイツ”に化けているわけじゃなく、身体は“アイツ”中身は“ヤツ”みたいだ。
「とりあえずは、どうやって“アイツ”の中から出すかだな。」
「ん?どうしたマコト?」
「あぁ、なんでもない。独り言だ。」
まぁ、なんとか“ヤツ”を抵抗出来なくしよう。その後で、出す方法を見つけ出す。これしか、今は思いつかないな。まぁ、“ヤツ”に勝てるかどうかだが、中身が“アイツ”ならまず勝てない。“ヤツ”が、どれほど“アイツ”の身体を使いこなしているかが“カギ”だな。
「待ってろよ“レイ”必ず助け出してやるからな!」
「今日は独り言多いな。」
◇
「はっくし!」
「どうしたんですか師匠?くしゃみなんかして。」
「誰かがレイの噂でもしてるんじゃない。」
「そうかもな。」
マコトくんが何かに気付いたみたいですね。
人物紹介
“シーレ”
レイ(肉体側)パーティーの一人。【エルフの里】の里長の娘、レイが【エルフの里】の危機を救った時に一目惚れした。
【異名スキル:エレメントマスター】持ち。
“アネル”
レイ(肉体側)パーティーの一人。
本名“アネル・ディ・アイン”、【アイン王国】第二王女。模擬戦でレイに負けた時に、その強さに惚れた、その後本気で好きになるが素直になれない。
【異名スキル:姫騎士】持ち。