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四の異世界英雄譚(旧:四人の悪人)  作者: サンソン
安曇清英編 第2章「七剣姫編」
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変えられて行く世界

下書きを消してしまっていました。

凄く遅れました。今回も宜しくお願いします。

「おはようございます、クリスさん。」

「ああおはよう。その様子なら...まあいい。」


俺とアスィは結ばれた。婚約までしたのは急ぎ過ぎだと思ったが、アスィが許してくれなかった。

俺達は半ば家となっている何時もの宿屋で朝食を摂っていた。


「私は許した訳じゃ無い。」

「...無論だ。」

「アスィ抑えて。もう終わった事なんだから。」

「セイエイはそう言う所甘いんだから...。まあそこも好きなんだけど。」

「そっちの娘さん...アスィだっけか?アンタも同行すんだろ?宜しくな!」

「セイエイを助けてくれたと聞いてるわ。こちらこそ宜しく!」

「私はルリィ・リュカオン・シャクショールです。アスィ様これから宜しくお願いします。」

「私達が来たからには死なせやしないわ!ウフフッ!」

「達?」


自己紹介と挨拶をするガングさんとルリィさんの会話が終わると、宿屋に二人の人物が入って来る。一人は小柄な白髪の美少女、もう一人は鎧を着た紫髪の女性だった。


「我々も同行するのさ。」

「弟を一人で行かせられないからね。」

「リリアナさんにメイファさん!やっぱり二人も行くんですね!」

「アトリアは我がスカウトした人材だ。少なくとも、愚かでは無い。『魔族解放戦線』は長く続くさ。」


リリアナさんとメイファさんも席に着いた所で、クリスさんが話を始める。


「次の目的地はアスカントだ。今回の宣戦布告でアスカントに何かあったと確信が出来た。恐らく簡単に入国は出来ない。多少だが手荒な手段も厭わない方針で行こうと思う。」

「待ってよ!セイエイをそんな危ない所に行かせられないわ!行くなら一人で行ってよ!」

「なんだと...?」

「何よ...!」

「アスィ!どうどう!」

「落ち着けって!」


二人は直ぐに一触即発の雰囲気になる。俺とガングさんで必死に抑え少し収まったが、これは少し心臓に悪い。


「俺は行きますよ!...ここまで来たんです、もう他人事じゃない。」

「...感謝する。直ぐにでも行こう。嫌な予感がする。」

「あ!でも行く前に少しやりたい事があるんですけど、いいですか?」

「む。まあいいが、何だ?」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「お前さんが勇者様のお墨付きの冒険者か。」

「ナリックさんですね。アルハムからシュレア一の鍛冶師だと聞いています。」

「んで、何の用だ?一応王家お墨付きの鍛冶屋、金は取るぞ?」

「その辺は大丈夫です。今回はこの鎧に色々装備を追加したいと思って来ました。」


俺はアスィの着ていた鎧を工房にある机に置く。


「たまげたな...。純正神鉄(オリハルコン)に魔法を弾くコーティング、使用者の動きを妨げない構造。とんでもない代物だぞこれは...。」

「出処は言えませんが、出来ますか?」

「うーむ。これ自体の完成度も高いから余計な物を付けるのは不必要だが、何を付ける?」

「考えている物は三つあります。一つ目は魔力を使って外部からの衝撃を無効化する装甲です。衝撃が来た時にだけその部分に魔力を回して防御力を高めます。」

「余計なダメージを喰らわずに済むってか...ふむ。」

「二つ目は...あ、紙とペンありますか?」

「ほらよ。」

「有難う御座います。」


俺は渡された羽根ペンで大判の紙に欲しい部品を簡単に描く。


「これは?」

「風を出す魔法『ウィンドブラスト』を使って空中や地上で高速移動、もしくは姿勢制御をする装備です。」

「これを何に使うんだ?」

「この鎧を着る人が戦闘センスの塊なのでこのぐらいしないと鎧が使用者に追いつけません。」

「まあいいか。それで?三つ目は?」

「これを。」


俺は預かっていたアスィお気に入りの大剣、『ジャスティスブリンガー』を机の上に置く。


「これに魔法陣を刻んで欲しいんです。」

「...本当に出処を聞けないのが惜しいな。この際この剣の良さなんざ語らんが、何をして欲しい?」

「『ウェイトダウン』をお願いします。」

「あんなエネルギー効率の悪い魔法をか?常時発動なんてしたら直ぐへばるぞ?」

「いえ、発動するのは一瞬でいいんです。」

「どういう事だ?」

「大剣が敵に当たった瞬時に魔法を解除すれば、最大限に重量を活かした攻撃が出来ます。当たれば必殺の一撃を使えるのは大きなアドバンテージだと思うんです。」

「面白い。了解だ。明日には出来るがウチの優秀なのを何人か使うだろうから、金は多めに取るぞ。こんな貴重なモンを触る機会もねえから割引するが、それでも普通のやつなら大出費だからな!」

「はい!お願いします!」

「明日のこの時間に来い。職人の名誉に賭けて完璧に仕上げてやる。」


俺は店を出てアスィ達と合流し、王都を散策する。


「私の鎧と剣、どうするの?」

「少し便利な物を付けるんだ。今のアスィの戦い方は少し危なっかしいからね。」

「えー?そんなに?」

「明日には出来るからさ。今日はデートしようか!」

「でーと...!うん!行く!」

「それは良いんだが、出発は明日になるという事で良いんだな?その確認はしておきたい。」

「その予定です。久々の暇ですし、クリスさんも羽を伸ばしましょうよ。」

「わ、私も、そのでーとを...?」

「それは分かりませんけど...あそこ、なんか揉めてません?」

「本当だな。なんだ?」


見ると、少し先で王国兵士数人と三人の人物が言い争っているようだった。


「本当に人探しで来てるのか?」

「まさか内部で反乱でも起こすつもりなんじゃ...!」

「そんな事しないと言っているだろう!私は元だが騎士だ!そんな事はしない!」

「早くしてくれないかアルビオ。私は疲れたぞー。」

「お腹空きましたしねー。」

「ほぼお前らのせいだろ!言い訳の一つでも言ったらどうだ!!」


話の聞こえる位置まで近付いてみると、騎士風の男が兵士相手に必死に弁明していた。男の後ろでは若い男性と全身鎧の人物が退屈そうにしていた。


「私の知り合いかも...。」

「えっ?メイファさん本当ですか?」

「...呼び方。」

「え、呼び方。...あ。姉さん、お知り合いですか?」

「確かめて来る。」


メイファさん...もとい姉さんは三人組の所に走って行くと、暫くしてこちらに手招きをしてくる。兵士は直ぐに何処かへ立ち去って行く。


「メイファ様!良くぞご無事で!」

「中々あっさりと見つかったな。ふふっ、無事で何よりだ。」

「本当ですねえ。おや...これは死神殿。お久しぶりです。」

「メイファ様、この方達は?」

「私の弟とその仲間。」

「メイファ様の弟君とは...!私はアルビオ・テンダと申します。元聖騎士隊長を務めておりました。」

「僕は安曇清英です。」

「セイエイ殿ですね!宜しくお願いします!」


アルビオと名乗る騎士の男は片膝を突き、頭を深く垂れ礼をする。


「聖騎士隊長って...バケモンだぞ...!」

「ならば私も自己紹介だな。我が名はヨハン・リュカオン・シャクショール!偉大なる錬金術師の王だ!」

「まあ!貴方様が私の御先祖様なのですね!」

「我が子孫だと?名を名乗れ。」

「ルリィ・リュカオン・シャクショールです!貴方のお話は小さい頃からお爺様やお父様から聞かされていました。」

「生きていればこんな事にも出会えるか!長く生きてみるものだな。それにしても...ログコートにそっくりだなお前は...。ああ、本当に。」

「ログコート...シュレア建国に尽力したリュカオン家の初代家長ですね。それが、何か?」

「いや、気にするな。それよりその本は大事にしろ。今の主はお前だ。お前の魂が純粋な(モノ )である限り、その中の者達は力を貸してくれるだろう。せいぜい使いこなしてみせろ。」

「...はい!御先祖様!」


ルリィさんの家が名家だったのは知ってたけど、まさか建国に関わってさらに王様が先祖なんて凄いな...。あ、ガングさんの顔が青い。



「私はティエレと申します。ヨハン王の護衛係兼世話役です。どうぞお見知りおきを。」

「ティエレ?あの『黒ば』」

「おっとそこまでです。過去の話は恥ずかしいので止めて下さい。」

「あらそうなの?貴方の事はお父様も褒めてたわ。友情に人生を捧げた誇り高き魔人族だったって。」

「お父様は魔人族なのですか?」

「大声では言えないけど魔王よ!そして私はその娘、アスィ。」

「本当に長く生きてみるものですね。てっきり恨まれてるのかと思ってましたから...。魔王様の娘なら失礼な事は出来ませんね...。」

「そういうのはいいのよー!」


畏まるティエレさんの肩をアスィは軽快にバシバシと叩く。なんでだろう、音が軽い。


「皆様の自己紹介も聞きたいのですが今は火急の用があります。死神殿、この国に危機が迫っています。」

「何っ!?どういう事だ!」

「第二騎士大隊は王国の隙を突く為の囮に過ぎません。本当の目的は聖騎士によるシュレアの属国や副都市、周辺の村への攻撃にあります。もはやこれは聖戦では無い!一刻も早く阻止せねば...!」

「アスカントはどうなっている!キュレアデア...やはり殺しておくべきだったか...!」

「教皇は何処か狂的なまでに何かを求めていました。その何かが分かれば...。」

「...目的地は変更。シュレア周辺の村や都市に警告、防衛をする。」


それって...非戦闘員から殺して行くって事か...?そんなの狂ってる...!


「我々もお供します。メイファ様のお側に置いて頂きたい!」

「ああ。聖騎士...簡単には行きそうもないな...。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


聖騎士による侵攻作戦はもうすぐそこまで迫っていた。非情な作戦を許せはしない...!

次回『震える村』これを知っている俺が、皆を救うんだ...!

更新はまた少し後になりそうです...

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