真・セブンソード 後編
遅くなりました!
お陰様で9000pv越えました。有難う御座います。もっと伸びていいよ!
「ああ...あああ!」
「やっと会えたね、セイエイ。」
「アスィー!!」
「セイエイ!!」
兜を外すと、現れたのは青く長い髪の少女アスィだった。俺は思わず走ってアスィに抱き着く。
「よかった...!本当によかった...!会いたかった!」
「私も!本当は私から行くつもりだったけど、結果オーライよ!...うーん!」
「痛い痛い!」
「あ、ごめん。嬉しすぎてつい。」
アスィは嬉しさから満面の笑みで俺を抱き締めるが、鎧のまま抱き着いたので物凄く痛かった。
「もう少し抱き締めたいけど...セイエイ、ちょっとどいて。」
「アスィ...?」
「死神...お前を殺す為に私はここまでの地位を築いた。全ては私からセイエイを奪った貴様を殺す為に...!」
「なんだって!?」
「...いいだろう。私にも罪はある。それを今ここで清算する...!」
「なら...死ねェェェェッ!!」
アスィは目から淡い赤色の光を放ちながら大剣を構えクリスさんに突撃する。
「貴様が私を狙う理由は何だ?セイエイを奪ったというのは認める。だが、それだけでは私に楯突く理由にはならないだろう?」
「なる!私はあの時、セイエイと共に努力すると決めた。なのに貴様は、私の気持ちも知らないで私からセイエイを奪った!」
「分か...らんっ!!」
アスィ懇親の一振りを即座に大剣でガードしたクリスさんは、アスィを蹴り飛ばして距離を取る。
「貴様には分からない!はああああ!!」
「何度来ようと...ッ!」
「私の気持ちが...!私にとって初めての"恋"を奪われた私の気持ちを、理解されてたまるか!!」
「な、何!?こ、恋だと!?」
「そうだ!それを貴様は!」
(そ、そんな..."恋"を...私は崇高な心の煌めきを否定したのか...!?知らなかった...そんな...!?)
クリスさんの動きがほんの少しだけ固まる。しかし、その一瞬をアスィは見逃さない。
「死ねッ!」
「はっ...!?しまっ、ガハッ...!!」
アスィが腰から抜いた長剣はクリスさんの腹部を貫く。クリスさんは素早く距離を取るが、力無く膝を突く。
「私にも痛みは...これが...ぐううっ。」
「クリスさん!!大丈夫ですか!今回復します...!」
「セイエイ!なんで死神を庇うの!そこをどいて。トドメを刺す...!」
「待ってくれアスィ!殺すなんて駄目だよ...!」
「セ、セイエイ...うぐ...。」
あの時俺を連れ去ったからって、今までお世話になったクリスさんを殺させたら駄目だ...!
「クリスさんは殺させない。確かに俺はこの人に連れ去られて色々させられたけど、俺に生き方を教えてくれた恩人なんだ!」
「でも...!」
「アスィ、クリスさんがあんな事をしたのにも訳があるんだ。お願いだ、止めてくれ。俺はアスィとクリスさんが殺し合うのなんて見たくない!」
「なら...。」
アスィは長剣を鞘に戻し、大剣から手を離して地面に置く。
「なら、セイエイはもう何処にも行かない?私を置いて遠くに行ったりしない?...私より先に死んだりしない?」
「...ああ!ああ!約束する!絶対に死なない!俺はアスィと一緒にいる!俺はもう何処にも行かない!」
「うっ...ううう...!セイエイ〜!本当に!本当に会いたかったんだからね〜!!」
「うおっ!俺もだよ!」
アスィは泣きながら急に抱き着いて来る。それを受け止め、抱き合いながらくるくる回ってみる。
「グスッ...セイエイ、いい匂い。落ち着くな。」
「一旦待って!...クリスさん、大丈夫ですか?」
「この位はな...しかし、言い訳も出来んやられ方だ...。」
俺はクリスさんの傷に鎧の上から手をかざし、頭の中で治癒魔法を念じる。淡い光が俺のガントレットから放たれる。
「すまない...。んっ...あっ...なん、何だこれは...!?」
「すみません。まだ使い慣れて無いので少し荒くなるかも知れません。一気に行きますよ...!」
「なにっ!?ちょっ、ちょっと待!あっ!んんっ!ああっ!これ以上はっ!あっ!んんんっ!!」
「ふう...ってあれ?」
集中を解くと、クリスさんは気を失って倒れていた。
「気絶してる...傷は治ってるけど...。」
「いいな...。」
「え?何か言った?」
「な、何でもない!」
「お、おーい!終わったのかよ?」
「大丈夫ですかー!ってクリスさんはどうしたんですか!?」
少し離れて見ていたガングさんとルリィさんがこちらに駆け寄って来る。
「クリスさんは気絶しているだけです。ガングさん、クリスさんを担いで先にルリィさんと先に宿屋に行ってて下さい。」
「分かった。...いよいしょっ!行こうぜルリィ。セイエイは今忙しいからな。」
「わ、分かりました。」
そう言い、クリスさんを担いだガングさんとルリィさんは部屋から出て行く。エクシアは三人がへやから出たのを確認すると、こちらにゆっくりと近付いて来る。
「さて...久しぶりだな、セイエイ。」
「え?会ったのは最近ですよね...?」
「全く......我を忘れるとは、薄情な奴だな?」
「ええ!?リリアナさん!?...あっ!姿を変えていただけか!」
「ようやく思い出したか!ああそうだとも!見ない内に少し逞しくなったな、セイエイ。だが...まさかお前が死神を庇うとはな。」
「本当にね。...でも、セイエイが生きていたんだもの。こんなに嬉しい事は無いわ!」
「中々練った計画なのだがな。まあいいが。...何をしてるクアンタ。お前もこっちに来い。」
マスクを外した青年の姿のリリアナさんが手招きをすると、恐る恐ると言った感じでクアンタが近付いて来る。兜を取ると、美しい女性が現れた。
「ほら、自己紹介だ。」
「あ...えっと、美華です...。中華人民共和国出身です。僻地生まれだけど。」
「あ、安曇清英です。...ん?」
「わ、私の事は"メイファお姉ちゃん"って呼んでいいから!ううん!呼んで!」
「ええ!?あー...メ、メイファお姉ちゃん?」
「......っ!と、突然ごめんね。その、昔亡くした弟がそのまま大きくなったみたいで...可愛くて...。」
「お、俺が?」
「うん。凄く可愛い。この鎧じゃなかったら抱き締めてあげてるのに...。フフッ、宜しくねセイエイ。」
「こちらこそ宜しく。"姉さん"。」
「これはこれで...。」
メイファさんと話していると、魔人族の青年アトリアがゆっくりと歩いて来る。
「...団長。」
「アトリア...。今まで騙していてすまない。」
「確かに、少しですが怒りはあります。...ですが、団長の願いが叶ったのは私にとって喜ばしい事です。私が聞きたいのは今後の方針、もしくは団長がこれからどうなされるのか、です。」
「私はセイエイと一緒に行くから、団長の任は離れる。アトリア、図々しいのは承知だが、団長の座を任されてくれないか?他に適任はいない。」
「拾って頂いた御恩に報いる時です。このアトリア、団長の任を全うしてみせましょう。」
「...感謝する。」
アトリアとの話を終えたアスィは向き直って俺の所に戻って来る。
「セイエイ、行こ!リリィとメイファは宿屋に行ってて!メイファ、付いてきちゃ駄目よ?」
「...そうだったな。メイファ、行くぞ。」
「あっ...。邪魔は出来ない...よね...分かった...。」
リリアナさんと何やらがっかりした様子のメイファさんはそそくさと部屋を出る。
「行くってどこに?」
「取り敢えず付いてきて!」
アスィに手を引っ張られ連れて行かれたのは、一棟の家だった。家に入ると、いきなり寝室だろう部屋に入れられる。
「そのまま少し待ってて!」
「え?あ、うん。」
な、なんだ?何が始まるって言うんだ?
「お、お待たせ...。」
暫く待っていると、シースルーのランジェリーを着たアスィが部屋に入って来る。開けた扉を閉める時も、恥ずかしいらしく何やらモジモジしていた。
「どう...?」
お、落ち着け...。ここは冷静に、的確に褒めるんだ...!
「エロい!」
「え!?」
違うぅ!!
「セイエイも服...脱いで。私だけこんなカッコ...恥ずかしい。」
「オーケイ!」
アスィに言われ、俺は未だかつて無いスピードで服を脱ぐ。大切なガントレットも今はお荷物。踏まないように床の隅に転がしておく。
「...。」
「アスィさん...これはどういう?」
俺は全裸でランジェリー姿のアスィと一緒にダブルベッドで寝ていた。恥ずかしくて二人共目を合わせられずに天井を見ているが、被っている毛布は一枚なので余計緊張する。
「その...お母様がセイエイと会えたらこうしろって...。後は男の人に任せれば良いって...。わ、私も何も知らない訳じゃ無いけど...初めてだし...。」
あの魔王様の妻だからやっぱすげえな...。
「俺は...その...なんというか...!」
「...私とじゃ、嫌?」
「そんなわけ無い!アスィは可愛いし、スタイルも良いし一緒に居たいって思う。それに、少し会えないだけで辛いのは初めてだったし...!俺も初めてだし、何からしたらいいのか...。」
すると、アスィは何か思い出したような顔をし少し考えた後、いきなり上から乗っかって来る。
「わっ!?」
む、胸が布越しに...!
「セイエイのしたい事、全部して良いよ。私、受け止めるから。」
そのセリフを聞いた時、俺は初めて理性を失った。
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戦争は終わったかに見えた。しかし、アスカントにはまだ切っていないカードがあった。少しずつ罅の入って行く日常。壊れて行く平和は何時まで保つのか。
次回『変えられて行く世界』私は...お前の傍に居ても良いのだろうか...。
後悔はn(ry
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