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四の異世界英雄譚(旧:四人の悪人)  作者: サンソン
安曇清英編 第2章「七剣姫編」
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真・セブンソード 中編

大変遅くなりました...。今回も宜しくお願いします!

その日俺達は、シュレア王国領土とアスカントの領土、そのどちらにも属さない地帯に居た。正確には今回戦場となる場所を見下ろせる小高い丘に陣を構えていた。


「ここなら両軍の動きを見る事が出来る。一応人避けの結界は張ってあるが、油断はするな。」

「本当に見るだけ、なんですか?」

「そうだ。奴...ギルテカリスやその手下の助力等が認められれば、その時に限り私達が介入する。もっとも、今回の戦は動機が不明瞭過ぎるがな。」

「ですよね...大丈夫かな...。」


心配なのは『七剣姫』...。もしもアスィだったら、もしもの時は...。


「いよいよ...だな。」

「すげえ数だ。第二騎士大隊を総動員かよ。」

「数ではシュレア側はかなり不利ですね。しかし...指揮官が流れを変えれれば...。」


ガングさんの言う通り、シュレアに向け行進するアスカント第二騎士大隊は軽く5万を越す兵士が居た。対する『魔族解放戦線』は急いで集めた魔人族や亜人族の兵士も含め、1万人居るかどうかだった。


「アレでまだ聖騎士が控えてるってのが恐ろしいな。」

「ガングさん、聖騎士って?」

「ああ、聖騎士は守護騎士の中でも高い能力を示した者だけがなれる、言っちまえば教皇の私兵だな。1人1人がバケモノだって聞いてるぜ。中には薬やら魔術なんかで強化してる奴もいるらしい。」

「聖騎士ぽくないです...。」

「そろそろ接触するな...。セイエイ、しっかり見届けろ。戦争の恐怖、愚かさをな。」

「はい...!」


第二騎士大隊は『魔族解放戦線』の陣と向かい合う位置に来ており、指揮官の号令があれば直ぐに突撃出来る展開だった。


その時『七剣姫』は


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「団長、どうするの?」

「相手は軍であっても騎士だ。こちらから手は出さん。...魔道士隊は詠唱を始めろ。」

「了解。...聞いたね?詠唱始め。」

「ハッ!」


アズミはクアンタを通して部下に指示を出し、テントの中の椅子から立ち上がる。


「私と副団長三人で突撃する。魔道士隊には最初の魔法だけは同士討ちを気にするなと伝えてある。」

「分かった。」

「ああ。」

「了解しました。」

「行くぞ。殺戮だ、残らずな。」


(私はこんな所で立ち止まる訳には行かない...!この戦に勝ち、奴から奪い返すッ...!私の希望を...!)


「来たぞ。」

「よし...魔力出力を全魔力の三割に固定。発射角、射線確認。...発射準備完了。」

「発射と同時に突撃する。構えろ。」


敵は整然とした列を保ったまま、真っ直ぐに突撃してくる。しかし、アズミは迫る的にも動じず魔力を体と剣に回す。

アズミが背中の大剣を構えると、腰や背中等の部分に固定されていた六本の剣が浮き始め、アズミの正面で刃を敵に向け円の様な形を作る。


「魔力へ還れ。墜星光条(メリ・ウィドゥ)。」


アズミが片手で持っていた大剣を正面に構え、短く詠唱を終える。その瞬間、大剣と剣の円から眩いばかりの光が生まれる。遅れて爆音と衝撃波が到達し、それも止むと地面には焼け焦げ抉られたような跡が真っ直ぐに作られているのが見えた。


「どうなってる!?」

「被害は...。」

「立て直せ!敵陣に突撃を!」


混乱する第二騎士大隊で反撃するべく声を上げた一人の騎士の首に剣が振り下ろされる。


「くっ...たった四人で何が出来る!」

「...そろそろか。」

「アレは...魔法攻撃!?いつの間に!」

「そういう訳だ。死ね。」


近く居たもう一人の騎士もエクシアの双剣で首を飛ばされる。その直後、第二騎士大隊に大規模な魔法による爆撃が飛んで来る。


「さあ行くぞ!戦力を惜しんだ事を後悔するがいい!」

「この...魔物モドキが...。」

「うるさい。」


アトリアは死にかけの騎士にトドメを刺し、また別の騎士に斬りかかる。爆撃が終わると、後方から魔人族の軍が突撃して来る。


「さて...終わらせよう。」

「...やるよ。」


エクシアは双剣で近くに居た騎士の不意を突いて刺殺し、斬りかかってきた他の騎士には剣を投げて対応する。

クアンタは大剣を振り回し、周囲の騎士を問答無用に切り刻んで行く。振られた剣から生じる衝撃波で騎士達は木片の様に吹き飛ばされて行く。


「"剣翼礼賛(パルシファル)"!」


アズミが魔言を唱えると、鎧に固定されていた剣は再び動き始めアズミの周囲を回り始める。


「何だ...!?剣が浮いて、ぐああっ!」

「クソッ!死角が無い...!どうすればいいんだ!?」

「こいつ!ぐがぁっ!」


アズミが剣を振るうと連動する様に周囲を浮遊する剣がテキを攻撃する。背後を取ろうした騎士は逆に背中に剣が刺さり息絶え、数で押そうとした騎士は味方諸共切り捨てられた。


「これほどまでとはぁ...!!教皇猊下に知らせるのだ!聖騎士で無ければこのバケモノは倒せんと!」

「り、了解!」


指揮官である騎士は部下の騎士を撤退させ、使者代わりにする。

戦の大勢は決まってしまった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「なんだこれ...圧倒的じゃないか...!」

「第二騎士大隊があそこまで押されるのか!?ていうかさっきの光は何だ!?」

「これが...戦争...!?」


あまりに一方的な戦況に、見ていた俺達は驚きを隠せなかった。


「これは予想外だな...まさかここまでの威力の魔法を放てるとは...。」

「さっきの魔法があったから防衛の任を買って出れたのか...。」

「見ろ。あれ程の魔法を放った後にも関わらず走り回って敵を斬っている。途方も無い魔力量だ。」


見ると、団長であるアズミは敵陣の真ん中で七本の剣を操り敵を次々と斬り捨てて行くのが見えた。


「騎士達は撤退を始めているが...まさか勝つとはな。」

「戦力差をひっくり返しましたね...。」


見ると『魔族解放戦線』の兵士達も追撃はせず、自分達の陣地に戻っていた。暫くすると戦場には生きている者は居なくなり、ただ死体だけが広がっていた。


「最後の仕事だ。セイエイ、これを被れ。貴様ら二人はここに残っていろ。」

「これは、ローブ?」

「顔をしっかり隠せよ。」

「は、はい。」


クリスさんに渡されたのは、フードの付いた黒いローブだった。取り敢えずそのローブを着てフードを被る。


「では魂を回収しに行く。」

「魂の回収、ですか?」

「戦場で死んだ者の魂はな、放っておくと魔力を吸って死霊(ゴースト)系の魔物になってしまう。人の魂は循環するものだからな。新しい人生を歩ませねばならない。」


ボロ布の様な物を被ったクリスさんと共に戦場だった所に赴く。死体の大半は騎士の物だった。クリスさんは死体に手をかざし、静かに魔言を唱え始める。


「"終わりを迎えた魂達よ天に昇れ。"」

「凄い...!」


クリスさんが魔言を唱え、持っていた巨大な鎌を振るうと死体から一斉に青白煙の様なものが飛び出して来る。


「これが...魂?」

「...やはり見えるのか。そうだ。これが私の管理する聖域で新しい命に入り、新たな人生を歩む事になる。」


魂は導かれる様に天に昇って行く。その神秘的な光景は数秒足らずで終わってしまう。


「仕事は終わりだ。シュレアに戻ろう。私達が帰る頃には大騒ぎだろうな。」

「ですね。」


魂を集める作業も終わり、俺達はガングさん達と合流し王都に戻る。王都はやはり大騒ぎで、アルハムは「活躍が無かったのに褒められるのはなあ。」と呟いていた。


「これで終わるとは思えないな...。」

「確かに。」

「クリス様、お手紙が届いています。」

「ああ有難う。」


宿に戻ると、宿屋の店番から手紙を渡される。差出人の名前やそれを示す印の様なものも無かった。クリスさんは早速封を開けて書かれた文字を追っていく。


「これはまた...予想外だ。」

「なんて書かれているんですか?」

「『魔族解放戦線』団長アズミからだ。簡単に言うと今日来いと書いてある。休む気が無いのか休まなくても良いのか...。」

「ええ!?あっちから招待なんて...確かに予想外ですね...。」

「またどっか行くのか?それはいいんだけど、飯食ってからにしようぜ。腹が減った。」

「わ、私も...。」

「仕方が無い。時間の指定は無いからな。ゆっくりして行こう。」


そう言いながら宿屋の食堂に入り、四人で座れる近い席に座る。適当に料理を頼んて暫く待つ。


「祝勝会とかやらないんですかね?」

「そんな連中じゃないんだろう。王国軍だって、自分達の力で掴んでいない勝利を祝う気にはならんさ。」

「ですよね。」

「アスカントもまだ奥の手を隠している。帝国が動くかもしれんし、魔王国だってナリア大陸国に抱く負の念なら幾らでもある。どの勢力が動いても不思議では無い。」

「アスカントが成立してから千年と経ってるらしいが、戦争を仕掛けたのは初めてじゃないのか?帝国ですら今の皇帝になって落ち着いて来たってのになあ。」

「戦乱なんて経験した事無いですが...平和が崩れてしまうのは恐ろしい事です。そんな事、あっては駄目です。」

「俺も、戦争だけは嫌です。」

「そうだな。今回の件で確信が出来た。奴が関わっているのは確実だが、完全に計画通りとは行かなかったらしい。次の目的地は決まった。」


クリスさんは来た料理を食べながら、次の目的地を決める。俺達も料理を食べつつ、その提案を了承する。


「さて行くか。セイエイ、お前はどうする?」

「勿論行きますよ。確かめなきゃいけないですし、あちらから誘って来たんです。何か考えがあるんでしょう。」

「だな。...私にも罪はある、という訳か。」

「何か...?」

「何でもない。行こう、あまり良い予感はしない。」


そう言い、俺達は『魔族解放戦線』の本部を再び訪ねる。手紙に描かれた紋章を見せると、門番は渋々団長室に案内してくれた。


「入るぞ。」

「失礼します...。」

「広っ。」

「うわぁ...。」


案内された部屋はとても広く、玉座の間と張り合える広さだった。そして奥には椅子に座り兜を被るアズミの姿があり、周りには副団長達が控えていた。


「やあ...待っていたよ。」

「ああ。私もだ。」

「団長...この者達は一体?」

「まあ待て。...セイエイ君、私の兜の中が気になるらしいね?玉座の間でずっと見ていた。」

「あ、それは...はい。」


アズミは立ち上がり、机の前に来ると兜に両手をかける。


「団長...何を!?」

「今ここで見せよう。」


兜の両側面にある止め金を外すと、カチリと音が鳴り緩んで外れる様になった。そのまま兜をうえに上げる。


「ああ...あああ!」

書けないです...書く事を思いつくまでに何時間か掛けてそのまま寝ちゃったり...。

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